凡例
- 当ページは戦国時代の史料でよく用いられる用語のうち、「あ」で始まる単語を扱ったものである。
- 当サイトで用語辞典を扱う目的は、主に当サイト上の「織田信長の年表」ページに掲載する翻刻の内容を理解しやすくするためのものである。
従って、一般的な古語辞書とは異なり、簡便な内容に留めている。 - 見出し語は便宜上、現代仮名遣いで記す。
例えば「越度」は「をちど」ではなく「おちど」とするため、「お」の項で扱う。 - 用例は原則として新字体で記す。
- 史料は充て字や異体字、方言など非常に多岐に渡るため、全てを記すことは困難である。
従って当サイトの判断で、便宜上記すものとそうでないものを区別するものとする。 - 例文は個人的に好例と判断したものを選んだため、時代や地域に偏りがある。
- 中には当サイトの不勉強による誤った解釈や読み下しもあるため、参考程度に留めていただきたい。
- 必要に応じて削除し、また加筆・修正を加えるものとする。
入眼・・・じゅがん
意味
物事を完成・成就させること。
例文) 『歴代古案』(永禄十一)六月二十五日付織田信長書状写より
去比種々御懇慮不知所謝候、仍自甲州可有和親之旨、度々被申越候、雖然于今無入眼候、
(書き下し文)
去頃、種々の御懇慮謝すところを知らず候。
仍って甲州(武田信玄)より和親有るべきの旨、たびたび申し越され候。
然りといえども、今に入眼無く候。
備考
元は絵を描く際に、最後に目を入れるところから。
所務・・・しょむ
意味
職務に伴う権利や義務。役目。勤めのこと。
中世では年貢の徴収と田地等の管理、また年貢そのものを指した。
また、「所務沙汰」とはおもに所領や年貢に関する訴訟を、「所務分(しょむわけ)」は遺産分配、かたみわけを意味することが多い。
例文 『百済寺文書』永禄十一年九月二十二日付織田信長朱印状
条々 百済寺
一、当寺諸事寺法之儀、可為如前々、寺領之内へ臨時之課役等、一切不可申懸之事、
一、惣寺物、所務以下散在ニ有之諸知行分、如前々不可相違、尚以当寺知行方不可付給人、並山林・竹木伐採儀、不可有之事、
(書き下し文)
条々 百済寺
一、当寺の諸事寺法の儀、前々の如くたるべし。
寺領の内へ臨時の課役等、一切申し懸くべからざるの事。
一、総寺の物、所務以下散在にこれ有る諸知行分、前々の如くに相違すべからず。
なお以って当寺の知行方は、給人を付すべからず。
並びに山林・竹木伐採の儀これ有るべからざるの事。
語訳
1.百済寺の諸事に関する寺法はこれまで通り認めるものであり、臨時の課役等は一切求めない。
2.百済寺の雑具や各地に散在している知行地、年貢の徴収権等は、これまで通り保証する。
なお、百済寺所有の知行地を、給人(知行人)につけてはならない。
並びに竹木や山林を伐採してはならない。
備考
もとは職務。役目。勤めのことを指したが、中世に入ると拡大的に解釈され、荘園における年貢の徴収や管理などの事務を意味するようになる。
さらに、荘園以外の所領における事務そのものを指すようになった。
「所務雑掌」・「公事雑掌」などは同じような意味で用いられることが多い。

