こんばんは~!
古文書の記事をいくつか書いてきましたが、やはりくずし字の解説は必要ですね!
くずし字も一般社会で使われなくなって久しい字(変体仮名)がたくさんありますが、その中でも特によく出るくずし字を8つご紹介します。
これだけでも完璧にマスターすると、江戸時代の大衆小説くらいは読めるようになりますよ!
- 古文書初心者です!
- くずし字のマスターに苦戦中
- 楽に覚えたい
- 古文書を勉強するきっかけがほしい
古文書の基本はくずし字
多くの古文書入門の書籍では、
「まずは変体仮名を五十音順に覚えろ」
といわんばかりにジャブで出してくる。
な行 | た行 | さ行 | か行 | あ行 |
な | た | さ | か | あ |
奈・那 | 太・多・堂 | 左・佐 | 加・可 | 安・阿 |
に | ち | し | き | い |
仁・爾(尓)・丹・耳 | 知・遅 | 之・志 | 畿・起 | 以・伊 |
ぬ | つ | す | く | う |
奴・怒 | 川・徒・津 | 寸・春・須・寿 | 久・具 | 宇 |
ね | て | せ | け | え |
年・祢 | 天・帝・亭 | 世・勢 | 計・介(个)・希・遣・気 | 江・衣 |
の | と | そ | こ | お |
乃・農・能 | 止・登 | 曽・楚 | 己・古 | 於 |
わ~ん | ら行 | や行 | ま行 | は行 |
わ | ら | や | ま | は |
和・王 | 良・羅 | 也・屋 | 末・満・万 | 波・八・者・盤 |
ゐ | り | み | ひ | |
為・井 | 利・里・梨 | 美・見 | 比・飛 | |
ゑ | る | ゆ | む | ふ |
恵・衛 | 留・流・類・累 | 由・遊 | 武・無・尤 | 不・婦・布 |
を | れ | め | へ | |
遠・越 | 禮・連・礼 | 免・女 | 部・遍 | |
ん | ろ | よ | も | ほ |
无 | 呂・路 | 与・餘 | 毛・裳 | 保・本 |
もちろん基本的なことなのでいずれは覚える必要がある。
しかし、入門書でも覚える量が多すぎて、挫折する方もいるかもしれない。
実は五十音の中でも出る頻度に偏りがある。
「あ」だけでも数パターンあるが、どれも出る頻度はマチマチなのだ。
当記事では特によく出るくずし字を8つピックアップした。
これさえ覚えれば江戸時代の大衆小説くらいは簡単に読むことができるぞ。
それでは、これから8つの字をご紹介する。
1日で覚える必要はない。
忘れたら何度も見直してインプットすることが大事だ( ゚Д゚)
「可」か
字母は「可」。ベク・ベキとも読む。
これは中世の古文書でも裁判関係、知行安堵状、普通のお手紙など広く頻出する字である。
「一」と書いて下にひらがなの「の」と書いたような字が一般的。
さらにくずれた字だと上の「一」が消えて「の」だけの場合もある。
頻出する字ほど崩される度合いが強い。
ひらがなの「か」は「加」のくずし字である。
明治の教育令改正により、これまで「か」だけでいくつもパターンがあったのが、ひらがなの「か」は「加」のみに統一された。
一つ面白い例を紹介しよう。
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これは実際の戦国時代の古文書だが、右側が「可」。
ちなみに「可添申事」=「添え申すべき事」と読む。
左側が「一」=「ひとつ、おんげじのぎ」・・・といった感じだ。
うーん、ややこしい(^^;)
だが、慣れればどうということはない。
「个」け
字母は「个」。
現在の「け」は「計」のくずし字だが、昔はこちらの字も用いられる頻度は高かった。
カタカナの「ケ」はこの字のくずし字となっている。
「春」す
字母は「春」。
現在の「す」は「寸」のくずし字だが、昔はこちらの字も用いられる頻度は高かった。
音読みの「シュン」から転じて「スン」→「ス」と読むようになった。
同じく「す」のくずし字である「寿」とやや似ているが、どちらも「す」なので誤読しても大差ない(タブン)
「多」た
字母は「多」。
現在の「た」は「太」のくずし字だが、昔はこちらの字も用いられる頻度は高かった。
最後の画で丸くうねうねするのはこの字以外にもたくさんあるので誤読注意。
「尓」に
字母は「尓」。
現在の「に」は「仁」のくずし字だが、昔はこちらの字も用いられる頻度は高かった。
「ふ」にも「よ」にも見えなくはない。
しかしながら、「に」の古文書に出る頻度は「の」に次いで高いので覚えておく必要がある。
「者」は
字母は「者」。「モノ」とも読む。
現在の「は」は「波」のくずし字だが、昔はこちらの字も用いられる頻度は高かった。
よく出るのは左から三番目のような気がする。
ひらがなの「を」みたいな感じ。
昔は”~は”といったような表現で頻繁に用いられていた。
「連」れ
字母は「連」。
現在の「れ」は「禮」のくずし字だが、昔はこちらの字も用いられる頻度は高かった。
くずしがひどいと、しんにょうすらあるのかないのかよくわからない文字になる。
「け」のくずし字である「遣」によく似ているので誤読注意。
「王」わ
字母は「王」。
現在の「わ」は「和」のくずし字だが、昔はこちらの字も用いられる頻度は高かった。
これは古代中国語の「ワン」からきている。
くずしがひどいとミミズみたいな文字になる。
よく出る8文字は以上だ。
ちょっと出やすいくずし字
今回は8選ということなので、この先は余裕のある方だけ読み進めていっていただきたい。
先述した8選と比べるとやや頻度は落ちるが、次に覚えた方が良いのがこの5文字のような気がする。
頻出する漢字はくずしが強くなる傾向にある
「御」ご・おん
「候」そうろう・こう
頻出する字ほどくずされやすい。
逆にいえば、適当に書いてる字は頻出文字だということになる。
このことを頭の片隅に入れておくと解読できる確率が上がるぞ。
ご覧いただきありがとうございました。
古文書の勉強は一日にして成らず。
独学ならば尚、ゆっくり自分のペースで学んだ方がいいですよ。