戦国の古文書解読よく出る語彙・単語編 五十音順「あ」~「こ」

5.0
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古文書解読の基本的な事 よく出る単語編 五十音順

 戦国時代の古文書で、非常によく出る語彙のみを選出しまとめました。
今後もさらに加筆する予定です。

  1. 「あ」行
      1. 相拘・・・あいかかえ・あいかかう
      2. 相互・・・あいたがい
      3. 相携・・・あいたずさえ
      4. 相計・・・あいはからい・あいはからう
      5. 相謀、相図・・・あいはかり
      6. 相払・・・あいはらい
      7. 浅猿・浅増・・・あさまし
      8. 預・・・あずかり・あずかる
      9. 能・・・あたう・よく・よき
      10. 与・・・あたえる、あずける・~と
      11. 扱・噯・・・あつかい
      12. 宛行・充行・・・あてがい・あてがう・あておこなう
      13. 宛行状・充行状・・・あてがいじょう・あておこないじょう
      14. 数多・・・あまた
      15. 剰・・・あまつさえ
      16. 諍・・・あらかう、あらかい
      17. 非・・・あらず
      18. 有・・・あり・ある
      19. 難有・・・ありがたき
      20. 案・案文・・・あん・あんもん
      1. 雖・・・いえども
      2. 委曲・・・いきょく
      3. 委細・・・いさい
      4. 諍・・・いさかう
      5. 聊・・・いささか・いささかも
      6. 已上・・・いじょう
      7. 何方・・・いずれかた
      8. 異体字・・・いたいじ
      9. 致・・・いたし・いたす
      10. 徒ら・・・いたづら
      11. 徒ら者・・・いたづらもの
      12. 一途・一図・・・いちず・いっと・ひとみち
      13. 一種一荷・・・いっしゅいっか
      14. 一左右・・・いっそう
      15. 未・・・いまだ
      16. 雖未申通候・・・いまだもうしつうぜずそうろうといえども
      17. 苟・・・いやしくも
      18. 弥・弥々・愈愈・愈々・・・いよいよ
      19. 違乱・・・いらん
      20. 所謂・所云・・・いわゆる
      21. 況・・・いわんや
      22. 引得・・・いんとく
      23. 印判状・・・いんばんじょう
      24. 音物・・・いんもつ
      25. 音問・・・いんもん・おんもん
      1. 失・・・うしなう・うしない
      2. 写・・・うつし
      3. 上書(ウハ書)・・・うわがき
      1. 不撰・不選・・・えらばず
      2. 撰銭・・・えりぜに
      3. 撰銭令・・・えりぜにれい
      4. 得・・・える
      1. 於・・・おいて
      2. 押字・・・おうじ
      3. 越度・・・おちど
      4. 追而・・・おって
      5. 生便敷・・・おびただしき・おびただしく
      6. 思召・・・おぼしめし・おぼしめす
      7. 及・・・および・およぶ
      8. 御床敷・・・おゆかしき・おゆかしく
      9. 折帋・折紙・・・おりがみ
      10. 畢・訖・了・・・おわんぬ
      11. 音問・・・おんもん・いんもん
  2. 「か」行
      1. 歟・・・か
      2. 邂逅・・・かいこう
      3. 皆済・・・かいさい
      4. 外実・・・がいじつ
      5. 外聞・・・がいぶん
      6. 涯分・・・がいぶん
      7. 還而・・・かえって、かえりて
      8. 花押・書判・・・かおう・かきはん
      9. 書下・・・かきくだし
      10. 書留文言・・・かきとめもんごん
      11. 闕・・・かけ、けつ
      12. 懸紙・・・かけがみ
      13. 重而、重・・・かさねて
      14. 稼・・・かせぎ・かせぐ
      15. 難・・・がたく
      16. 忝・・・かたじけなき・かたじけなく
      17. 曽・嘗・・・かつて
      18. 渠等・・・かれら
      19. 感状・感書・・・かんじょう・かんしょ
      20. 勘落・・・かんらく
      1. 聞済・・・ききすます
      2. 刻・剋・・・きざみ
      3. 起請文・・・きしょうもん
      4. 期・・・きす
      5. 急度・急与・・・きっと
      6. 給金・・・きゅうきん
      7. 給人・・・きゅうにん
      8. 糺明・・・きゅうめい
      9. 恐々謹言・・・きょうきょうきんげん
      10. 恐惶謹言・・・きょうこうきんげん
      11. 脚力・・・きゃくりき
      12. 金子・・・きんす
      13. 銀子・・・ぎんす
      14. 禁制・・・きんぜい
      1. 公事・・・くじ
      2. 曲・曲事・・・くせごと
      3. 件・・・くだん・けん
      4. 国質・・・くにじち
      5. 組頭・・・くみがしら
      6. 委事・・・くわしきこと
      1. 懈怠・・・けたい
      2. 下知・・・げち
      3. 闕・・・けつ、かけ
      4. 闕字・欠字・・・けつじ
      5. 闕所・欠所・・・けっしょ
      6. 見除・・・けんじょ
      7. 譴責使・・・けんせきし
      8. 検断・・・けんだん
      9. 権門・・・けんもん
      1. 所希候・・・こい(ひ)ねがうところにてそうろう
      2. 号・・・ごうす
      3. 勾当内侍・・・こうとうのないし
      4. 向後・・・きょうこう・こうご
      5. 爰元・爰許・・・ここもと
      6. 越・・・こす・こし
      7. 如・・・ごとく・ごとき
      8. 異・・・ことなる
      9. 殊・・・ことに
      10. 理・・・ことわり
      11. 断・・・ことわり
      12. 御内書・・・ごないしょ
      13. 此方・・・こなた
      14. 此上・・・このうえ
      15. 此段・・・このだん
      16. 因茲、是由・・・これにより、これによりて
      17. 此等・・・これら

「あ」行

相拘・・・あいかかえ・あいかかう

(意味)①年貢などを押さえておくこと。②閉じ込めること。

 (備考)よくこのような表現で登場する。


石清水八幡宮田中御門跡御領年貢、諸成物等、堅可相拘候、双方へ納所候而者、不可然候、来春可罷上候条、其刻可相済候、

 (石清水八幡宮田中御門跡御領の年貢・諸成物等、堅く相拘(あいかか)うべく候。双方へ納所候ては、然るべからず候。来春に罷り上るべく候条、そのきざみ相済ますべく候。)

  (現代語訳)
石清水八幡宮領の年貢・諸成物等は、横領相手に取られないように堅く守っておきなさい。
八幡宮と御牧氏の双方へ年貢等を納めることは禁止です。
来春に織田信長が上洛するので、この件はその際に処理致します。


   『石清水文書』三 (元亀二年)十二月二十三日付木下秀吉書状より抜粋

相互・・・あいたがい

(意味)互いに
 (備考)例文として


当時クリミヤクリミア戦争の当分ではあるし、元来がんらい英吉利イギリス露西亜ロシアとの間柄は犬と猿のようで、相互あいたがいに色々な猜疑心さいぎしんがある。

  福沢諭吉 福翁自伝より

相携・・・あいたずさえ

(意味)互いに手を取り合う。互いに協力する

相計・・・あいはからい・あいはからう

(意味)そのように事を運ぶ。そのように根回しする

相謀、相図・・・あいはかり

(意味)相談する。何かを企てる

相払・・・あいはらい

(意味)支払う、支払い

浅猿・浅増・・・あさまし

(意味)浅ましいこと。嘆かわしいこと。興ざめ。または驚嘆すること。

 (備考)


御ナヘト金吾ト祝言今日在之云々、浅猿ヽヽ
 (御なべと金吾(松永久通)と祝言今日これ有りうんぬん。浅まし浅まし。)

   『多聞院日記二十 天正三年七月二十五日条』より

預・・・あずかり・あずかる

(意味)預かる、預ける

能・・・あたう・よく・よき

(意味)~できる。

 (備考) 打消しとなる「不能」で”あたわず”あるいは”あたわざる”
なお、この字は”よく”とも読む場合がある。
能々(よくよく)など

与・・・あたえる、あずける・~と

(意味)与える、または助詞の「~と」
急与」で”きっと”と読む。

 (備考)
「与え」の場合


御分別不可過候、猶彼口上付候、恐々謹言
(御分別に過ぐべからず候。なお、かの口上に与え付け候。恐々謹言)


 『千葉県伊能家所蔵文書(元亀三年十二月二十八日付武田信玄書状)』より抜粋


「~と」の場合


小谷敵陣之間取切候、義景及難儀候キ之事、
 (小谷敵陣の間を取り切り候。義景難儀に及び候きの事。)

  『本願寺文書(八月二十日付織田信長朱印状)』より抜粋

扱・噯・・・あつかい

(意味)和睦・調停のこと。

 (備考)「噯が入る」などと表現する。

宛行・充行・・・あてがい・あてがう・あておこなう

(意味)物や土地を割り当てること。

宛行状・充行状・・・あてがいじょう・あておこないじょう

(意味)荘園や中世武家社会において土地や所職の給与に際して、給与者が作成して被給者に交付した文書のこと。充文(あてぶみ)ともいう。

 (備考)
基本的には「あてがいじょう」と読むが、「あておこない」でも間違いはないようだ。

数多・・・あまた

(意味)多数、たくさん

剰・・・あまつさえ

(意味)そのうえに、それだけでなく、おまけに

諍・・・あらかう、あらかい

(意味)逆らう、抵抗する
 (備考)この字で「いさかう」もよく用いられるが、意味合いは少し異なる

非・・・あらず

(意味)そうではない

有・・・あり・ある

(意味)有る、有り

難有・・・ありがたき

(意味)ありがたい
 (備考)「難有仕合」の場合は「ありがたきしあわせ」

案・案文・・・あん・あんもん

(意味)「正文(しょうもん)」のコピーのうちで、本質的な効力があるものを指す。
案書(あんしょ)・書状案(しょじょうあん)などとも呼ばれる。

 (備考)案文は法令・命令布達のために大量に作成される場合、訴訟の証拠文書としてコピーを提出される場合、所領を分割する際、その土地の権利関係文書のコピーといった重要な文書の場合に作成される場合が多い。
一方、正文のコピーで、効力の無いものは「写うつし」である。
参考『史料を読み解く1 中世文書の流れ(山川出版社)』・『花押・印章図典(吉川弘文館)』

雖・・・いえども

(意味)逆説の確定条件または仮定条件。~だけど、~だと
 (備考)「雖然」は「しかれども」
雖未申通候」で”いまだ申し通せず候といえども”
書簡を始めてやり取りする際に記される場合が多い。

委曲・・・いきょく

(意味)詳しく細かなこと。また、物事の詳しい事情。委細・詳細。
 (備考)中世の古文書ではしばしば文章の終りの方で登場する。
委曲〇〇可申候也、(いきょく、〇〇申すべく候なり)」
といった感じで使う。
“委曲”の部分は「委事(くわしき事)」と記されていることもある。

委細・・・いさい

(意味)詳しい事情、詳細

諍・・・いさかう

(意味)言い争う、喧嘩する

 (備考)この字で「あらかう」もよく用いられるが、意味合いは少し異なる

聊・・・いささか・いささかも

(意味)ほんのすこし、わずか

 (備考)「右以不可有相違者也、仍執達如件、」(右、いささかもって相違あるべからざるものなり。仍って執達くだんのごとし)

已上・・・いじょう

(意味)以上と同じ意

何方・・・いずれかた

(意味)どこでも、どこへでも

 (備考)判物の類によく登場する文言。
たとい何方判形ありといえども、棄破(きは)せしめ了(おわんぬ)」などと用いる。
 (例え過去に誰が判物を与えたとしても、それを無効とする)

異体字・・・いたいじ

(意味)漢字の字体のうち、国が定めた標準字体(正字)以外の字体をした漢字のこと。別字体のこと。

 (備考)
古代期、漢民族の文化圏では、宋代に本格的な印刷文化が発展するまで、異体字全盛期の時代であった。
日本が大陸から漢字を取り入れたのはまさにこの時期のこと。
さらに、則天皇帝の作った新字なども早々に取り入れられた。
国の異体字「圀」などがそれにあたる。(國がもとの漢字。つまり正字)
漢民族の間では、こうした異体字が問題視され始め、正字一つに統一しようとする気運が起きたが、日本ではそうはいかなかった。

それに加え、朝鮮半島で盛んに用いられていた「部の異体字※下図を参照」のように、つくりを独立させた異体字も、日本では用いられるようになる。(この異体字の起源が半島か大陸かは不明)
なお日本では8世紀頃、この字は「マ」に近い字で書かれることが多くなり、平安時代前期には、「へ」に近い形に略されるようになった。
これが、ひらがな・カタカナの「へ」へ繋がってゆく。

「部」の異体字の変遷

「部」の異体字の変遷

このように、異体字が時代の流れとともに仮名文字へと進化する例もあった。
仮名文字ではないが、他に代表的な異体字として「刕=州」・「时=時」・「㐧=第」などがある。

参考:『文献史料を読む・古代から近代(朝日新聞社)』・『音訓引 古文書大字叢(柏書房)』など

致・・・いたし・いたす

(意味)「~する」の謙譲語。へりくだった言い方。またはひきおろす。もたらす。「不徳の致すところ」等

 (備考)打消しとなる「不致」で”いたさず”。

徒ら・・・いたづら

(意味)せっかくの価値が活かされず、また努力に見合った結果が得られずに無駄である。役に立たない。甲斐がない。虚しいと感じるさまを表す。

 (備考)歴史的仮名遣いで「いたづら」としているが、つまりはいたずらのこと。
中世末期から悪ふざけをするさまを表す意が現れ、現代語のいたずらの意に至る。

徒ら者・・・いたづらもの

(意味)
①用の無くなった者、落ちぶれた者
②悪いことをする者、ろくでなし、ごろつき
 (備考)中世の古文書ではしばしば、快く思わない者を指す意味で登場する。
例文を挙げると


就中浄土宗、法花宗宗論、彼い多つらものまけ候、
 なかんずく浄土宗・法華宗の宗論、かのづら者(が)負け候。)

   天正7年付織田信忠宛消息より(信長が織田信忠へ宛てた書状)

一途・一図・・・いちず・いっと・ひとみち

(意味)
①専念すること
②専ら相談することが大切であること
③決着すること
④事の子細・事の次第
⑤戦いの様子
⑥一つの方針・方法

一種一荷・・・いっしゅいっか

(意味)贈り物の一種で、人に酒樽一つに酒肴一種類を添えて贈ること。
一種一桶(いっしゅいっとう)ともいう。


例文)
「仍十種十荷推進之候、表祝儀計候」
 (仍って十種十荷これを推しまいらせ候。祝儀を表すばかりに候)

  『顕如上人御書札案留(朝倉義景宛六月八日付)』

 (備考)
関連記事:戦国時代定番の贈り物と数え方①食品、武具・馬、鳥類・猛禽類編-酒樽(さけだる)・酒桶(おけ)・指樽(さしだる)の項

一左右・・・いっそう

(意味)一つの命令、指図、通知、手紙。

未・・・いまだ

(意味)「まだ」あるいは「かつてない」

雖未申通候・・・いまだもうしつうぜずそうろうといえども

(意味)今までご挨拶したことがありませんが

 (備考)「未だ申し通ぜず候と雖も」となる。
かつては外交儀礼上、初めて便りを出す相手にはこのような文言を使用した。

苟・・・いやしくも

(意味)卑しい、低いの意味で、最低のことを条件としていう。いいかげんにでも、少なくとも、仮にも

弥・弥々・愈愈・愈々・・・いよいよ

(意味)前よりも一層、ますます、とうとう、ついに

 (備考)「今度被成下御下知之上者、全可被領知之事、」(この度御下知成し下さるるの上は、いよいよ全く領知せらるべきの事。)などと表現する。

違乱・・・いらん

(意味)①相違ないこと。②事態を不服として異議を申し立てること。

 (備考)


「此上者各御違乱有間敷候、」
 (この上は、おのおの御違乱有るまじく候。)

  『真珠庵文書 二(六月二十五日付松井友閑書状)』より抜粋

所謂・所云・・・いわゆる

(意味)世に言われているところの、人のよく言う

況・・・いわんや

(意味)言うに及ばず、もちろん、まして

引得・・・いんとく

(意味)引き受ける、受諾する。

印判状・・・いんばんじょう

(意味)武家社会のうちで花押にかえて印章(印判)を用いた文書のこと。
筆書と違って印判は簡便であり、同一文書を幾通りも短時間に作れるので、掟・制札・伝馬手形などでよく発給された。
鎌倉・室町両幕府関係の武家文書は寺院関係の「公帖こうじょう」と称する文書のほかはすべて無印文書ばかりであったが、そこへ花押(かおう)にかわって印章を用いた武家文書が十五世紀に出現した。
印判状はまず尾張以東の東国地方に限って行われたが、印判状を出していた織田信長が広く天下を握ったことで、しだいに全国へ波及していった。
また、朱印と黒印とに大別ができ、おおよそ以下のような違いがある。

判物と印判状のちがい

関連記事:戦国時代の古文書 判物とは何か 書き方のルールは?

 (備考)また、印判状は奉書式と直状(じきじょう)式に区別されるが、奉書式のものは奉者があって、それに主人の印を捺して出したが、奉者は花押をすること(それも稀に)はあっても自己の印章をすることはない。
直状式のものは奉者を介さず大名が捺印をして直接に出す様式である。
捺印については、年・月日のいずれかに捺すもの、日付の下方に捺すものなど、各家々によってその様式には差異があった。

奉書式印判状の奉者が「奉之」と書く場合に、相模の北条氏は「遠山奉之」と小さく右傍に書いたが、甲斐の武田氏は「土屋右衛門尉奉之」と左傍に記し、越後の長尾氏は「直江奉之」と一行書にした。
徳川家康もまた、甲斐へ入国すると武田式を襲用した。
主な参考文献:『花押・印章図典(吉川弘文館)』・『室町・戦国時代の法の世界(吉川弘文館)』

音物・・・いんもつ

(意味)進物・贈り物のこと。または賄賂を指す。

音問・・・いんもん・おんもん

(意味)手紙などで安否をたずねること。
人の消息などを尋ねるための伝言や手紙のこと。

失・・・うしなう・うしない

(意味)なくす、失う、うせる、手放す

写・・・うつし

(意味)文書のコピーのうちで、効力を持たないもの。
効力を持つものが「案文(あんもん)」であるが、詳細は後日述べる予定。

上書(ウハ書)・・・うわがき

(意味)書簡の表面に月日や宛所などを書くこと。

 (備考)

上図だと⑪が上書にあたる。
この場合、本文と同じ面に記されているので表書(おもてがき)となり、逆にその裏側に書くことを裏書(うらがき)といいます。
古文書の専門用語として「(切封ウハ書)」・「(懸紙ウハ書)」・「(包紙ウハ書)」・「(捻封ウハ書)」・「(端裏ウハ書)」などさまざまなタイプが存在する。

不撰・不選・・・えらばず

(意味)選択、選抜せず

 (備考)”老若男女不撰”で「ろうにゃくなんにょえらばず」となる。

撰銭・・・えりぜに

(意味)室町時代末期から戦国期にかけて、しだいに流通度合いが増してきた鐚銭(びたせん)を忌諱したり、排除したりする動きのこと。
銭貨の受渡しにおいて、通用価値の低い銭の受渡しを拒否し、その価値が高いとされる精銭せいせんでの支払いを要求する行為。

 (備考)この時代は大陸との通商が大きく制限されたことで、新しい宋銭や明銭が国内に流通しづらい状況が長く続いた。

撰銭令・・・えりぜにれい

(意味)上記の撰銭えりぜにを一定度制限し、各銭貨の通用価値を公定するなどして貨幣流通の混乱を制御しようとする動き。または明文化した法度(はっと)のこと。

 (備考)室町幕府のほか、大内氏・後北条氏・織田氏などが出している。

得・・・える

(意味)手に入れる、自分の物にする。

於・・・おいて

(意味)「~について」、「~の場所で」等幅広く用いられる

 (備考)「於何時」は「なんどきにおいて」

押字・・・おうじ

(意味)花押(かおう)のこと。くわしくはそちらをご参照のこと。

越度・・・おちど

(意味)あやまち、過失、罪、悪行。落ち度。

追而・・・おって

(意味)のちほど。(書簡や掲示文などで)本文のあとにつけ加える意を表す。

 (備考)尚々(猶々)と記される場合も多々ある。
現在の追伸部分にあたる。

生便敷・・・おびただしき・おびただしく

(意味) 程度が甚だしい。ものすごい。 =夥しい。

思召・・・おぼしめし・おぼしめす

(意味)「思う」の尊敬語

 (備考)「被思召」で(おぼしめさる・おぼしめされ)と読む。

及・・・および・およぶ

(意味)「~に達する」「~と同列に」

御床敷・・・おゆかしき・おゆかしく

(意味)
①懐かしくて心惹かれること。
②気品や情趣があり心惹かれること。
③好奇心がそそられて関心を持つこと。

 (備考)古文書ではこのように記されることが多い。


尚々、久不罷向上、御床敷存候、
 (尚々、久しく罷り向上せず、御床しく存じ候)

   『妙心寺文書(元亀三年六月二日付島田秀満書状)』より抜粋

折帋・折紙・・・おりがみ

(意味)「帋」は紙の異体字。
用紙を横に二つ折りにして用いた書状を指す。
しかし、単に書状そのものを意味することが多い。

堅紙(全紙)と切紙(折紙)の違い

堅紙(全紙)と切紙(折紙)の違い

畢・訖・了・・・おわんぬ

(意味)「終わる」に完了の助動詞の「ぬ」が合体。「おわりぬ」=終わった、終わってしまった、または打消しの「ぬ」
~をば

音問・・・おんもん・いんもん

音問(いんもん)を参照のこと。

「か」行

歟・・・か

(意味)疑問・反語を表す助字などの意味をもつ 例)「寛永初年、五年」、「一件はソレ竜の如きもの」 現代でいう「~か(?)」

邂逅・・・かいこう

(意味)思いがけない出会い、偶然出会うこと、めぐりあい

 (備考)調べてみると、どうやら漢字検定1級の試験でたまにでるらしい。

皆済・・・かいさい

(意味)借りた金を返しおわること、年貢や税などを完納すること

外実・・・がいじつ

(意味)世間の聞こえ、評判、面目、内実共に等

 (備考)外聞がいぶん実儀じつぎを合わせた語。

外聞・・・がいぶん

(意味)世間の聞こえ、評判、噂のこと。
また、世間に対する体裁や世間体を気にする際に用いる。

涯分・・・がいぶん

(意味)身分相応であること、身の程。分際。

 (備考)例文として


「雖然向後之儀、涯分申調可進之候、」
 (書き下し文)然れども向後の儀、涯分申し調いこれまいらすべく候。
 (現代語訳)しなしながら、後日あなたの面目が立つように、分相応のものを進呈します。

  『太田家古文書(十月晦日付鳥屋尾満栄書状)』

還而・・・かえって、かえりて

(意味)そのままの意味。

 (備考)「色ゝ走廻候へハ、還而御うたかい迷惑ニ候、」
(いろいろ走り回り候へば、かえって御疑い迷惑に候。)
などと使います。(年次不明7月5日付武田晴信起請文)

花押・書判・・・かおう・かきはん

自署(じしょ)の代わりに書く記号のこと。
押字(おうじ)ともいい、その形が花模様に似ているところから花押と呼ばれた。
印判との区別をつけることから「書判(かきはん)」ともいう。
花押は個人の表徴として文書に証拠力を与えるもので、他人の模倣・偽作を防ぐため、その作成には種々の工夫が凝らされた。
大陸の文化を受けて、日本では10世紀ごろから次第に用いられるようになった。
当初は楷書で署名していたが、時代の流れとともに、しだいに行書、草書へと変化していった。
特に実名じつみょうの下の文字を極端に簡略化し、次第に二字の区別がつかなくなって図様化した。
これを「草名(そうみょう)」という。
なお、偽造を防ぐために頻繁に変える人物もいるため、花押の判別によっておおよその時期を特定できる場合もある。

 (備考)
戦国時代末期になると、諱(いみな=実名)とは全く関係のない文字が花押として使われるようになった。
織田信長の「麟」・豊臣秀吉の「悉」などがそれにあたる。
同時に千利休をはじめ、真木島昭光・十河存保・三好宗渭・伊達政宗などは、漢字とは異なる鳥などを図式したものを花押とした。
参考文献:『花押・印章図典(吉川弘文館)』・『戦国大名の古文書<東日本編〉(柏書房)』・『増訂 織田信長文書の研究 上・下巻(吉川弘文館)』・『史料を読み解く1 中世文書の流れ(山川出版社)』など

花押の例

花押の例

書下・・・かきくだし

(意味)武家様古文書の文書形式の一つ。
位が守護未満の武家が、自己の管内の者に対する所領給与・所領安堵・施行・覆勘(ふっかん)・軍勢催促・補任(ぶにん)・召喚などの命令の伝達に用いた直状(じきじょう)形式の文書のこと。

 (備考)形式としては、発給者が差出人として署名しており、「仍状如件(仍って状くだんの如し)」・「之状如件(~の状くだんの如し)」の書留文言(かきとめもんごん)が一般的。
証書の類なので、月日だけでなく年月日が記されることが多い。
戦国時代に入ると、守護以外の者が大きな権力を持つ場合が増えた。
そうした戦国大名が下達する文書も「書下」といえるのだが、このうち大名の花押(かおう)を据えたこの種の文書を基本的には「判物(はんもつ)」と呼ぶ。

書留文言・・・かきとめもんごん

(意味)書簡を書く際に守らねばならない礼儀作法(書札礼)にのっとり、書簡の書留(かきとめ)部分に記入する語のこと。
現在の「敬具」や「かしこ」にあたる。
中世日本では「恐々謹言(きょうきょうきんげん)」・「恐惶謹言(きょうこうきんげん)」・「恐惶敬白(きょうこうけいびゃく)」・穴賢(あなかしく)」・謹言(きんげん)」などが多い。

 (備考)当時の書留文言は、現代よりもはるかに厳格な書札礼(しょさつれい)があり、差出人はその文言を慎重に選んだ。
最悪の場合、送った書簡を受け取り拒否されるケースもあったからだ。

闕・・・かけ、けつ

(意味)「欠」と同じ意味

懸紙・・・かけがみ

(意味)文書が書かれた本紙に対して、それを包むための包紙のこと。
他に表巻・巻紙と呼ぶこともある。
今日も贈答用の丁重な手紙には、熨斗や水引きを添えたものがあるが、それは昔の名残だろう。

 (備考)書状には本紙のほかに礼紙(らいし)や懸紙を添えることがある。
懸紙とは、本紙と礼紙とを重ねて折った上をさらに包んだ一枚の紙を指す。
先方に敬意を示すために用いるが、時には返信用に使用されることもあった。
室町時代になると、一枚の紙を本紙・礼紙・懸紙と三部分に切断して使用することもあった。

この例には礼紙はないが、切封端裏書(きりふうはしうらがき)はこのような躰になることが多い

重而、重・・・かさねて

(意味)繰り返して、ふたたび

稼・・・かせぎ・かせぐ

(意味)功績を挙げる

難・・・がたく

(意味)難しい、できそうにない

 (備考)「有難」となると、全く別の意味になる

忝・・・かたじけなき・かたじけなく

(意味)ありがたい、感謝の意。または恐れ多い、もったいない

曽・嘗・・・かつて

(意味)過去のこと、あるいはまったく、全然という意味。

 (備考)古文書では「曽」一文字で”かつて”と用いられました。

渠等・・・かれら

(意味)彼ら

感状・感書・・・かんじょう・かんしょ

(意味)合戦に参加した将士の戦功を賞して発給される文書のこと。
感書(かんしょ)・御感書(ごかんしょ)ともいう。
よく出る文言として「戦功無比類候(戦功比類なき候)」・「無比類働、神妙之至(比類無き働き、神妙の至り)」・「弥可励忠節(いよいよ忠節励むべく)」・「弥可抽粉骨之条(いよいよ粉骨抜きんでるべきの条)」などが登場する。
感状は武士が誇りとする戦功の証明書であり、武士に取っては最高の名誉のしるしであったから、判物(はんもつ)と同様に大切に保存された。

 (備考)感状は鎌倉時代末期から江戸時代初期にかけて発給された。
直状(じきじょう)形式で、日付の下に差出書を署し、次行に宛所を記す日下にっか署判の書下(かきくだし)書式が多いが、特に地位の高い者から出された感状には、袖に花押を加えた袖判(そではん)形式のものもある。
将軍などの場合は御教書(みぎょうしょ)・御内書(ごないしょ)奉書などの様式を用いるが、これは御感御教書・御感奉書などとよばれた。
戦国時代以降は朱印状・黒印状などの略式された印判状(いんばんじょう)になる傾向にあった。
参考:『花押・印章図典(吉川弘文館)』など

勘落・・・かんらく

(意味)土地や財産を没収、または横領されて失うこと。

聞済・・・ききすます

(意味)聞き届ける

刻・剋・・・きざみ

(意味)~の際に

起請文・・・きしょうもん

(意味)神々の前で誓約する内容を書き記した文書。
誓詞・誓紙・誓書・誓句とも呼んだ。
和睦の際や、大名間での縁組が決まった際、家臣団に忠誠を誓わせる際などに用いられた。
護符の裏に書くのが通例で、ここから起請文を書くことを「宝印を翻す」などと表現した。
特に和睦交渉の際は、互いに信頼関係が不足している。
従って、相手に誓うのではなく神仏に誓うのである。

 (備考)
基本的に起請文は「前書き(前文)」と「神文(罰文)」によって構成される。
まず、文書の柱書(タイトル)として、「起請文ノ事」などの文言が入る。
次に続く文が誓約内容となる「前文」。
その後に「この内容に偽りがあるようであれば神々の御罰を蒙る」とした内容の「罰文」が入る。
罰文の部分は、自らが信仰している神仏を記すが、キリシタンの場合はそこにデウスなどが入ることもあった。

期・・・きす

(意味)期限として定める、期待する

急度・急与・・・きっと

(意味)確実にそうなるだろうと予測、 動作・状態が瞬間的であるさま、取り急ぎ

給金・・・きゅうきん

(意味)奉公人のお給料

給人・・・きゅうにん

(意味)年貢取得者。
戦国期における給人は、大名などの公から恩給地を与えられた家臣を指す。
逆に武家(給人)には軍役などが課せられた。
一方、年貢納入責任者のことを「名請人(なうけにん)」と呼び、百姓は年貢・公事(くじ)を負担することで、その身分と所有を認められた。

 (備考)
『塵芥集』(七十六条)
『甲州法度之次第』(六条)
『新加制式』(十四条)
など

糺明・・・きゅうめい

(意味)不正を問いただして明らかにすること

 (備考)戦国時代の古文書でも、判物(はんもつ)や制札の類ではこのワードが出現する場合がある。「被遂糾明可然候」(糾明を遂げられ然るべく候)など

恐々謹言・・・きょうきょうきんげん

(意味)相手に対して敬意をあらわす書留文言(かきとめもんごん)
書状の最後に記される決まり文句。
直訳すれば「恐れ謹んで申し上げます」

恐惶謹言・・・きょうこうきんげん

(意味)相手に対して最上級の敬意をあらわすために用いられた書留文言(かきとめもんごん)

脚力・・・きゃくりき

(意味)発給された書状を送り届ける人物のこと。飛脚
身分の低い人物、あるいはその家の内情を知らない外部の人物である場合が多い。

 (備考)飛脚は書状の詳細を語れない(内情をよく知らない)ので、急を要する際や適切な使者がいない場合に選ばれた。
リスクとして飛脚が敵方に捕縛されたり、飛脚自身が裏切ることが挙げられる。

戦国時代の書状の後半部分に「猶〇〇申すべく候」などと記される場合が多い。
この場合、〇〇が副状発給者なのか、使者なのか判断が難しい場合がある。
しかし、飛脚であれば「飛脚を差し遣わし候」などとするので判別がしやすい。
「□□差し下し候。〇〇申すべく候」の場合、多くの場合は□□に使者(飛脚ではない)が、〇〇に副状発給者のケースが多い。

なお、書状に「幸便の条、筆を染め候」とある場合、飛脚に書状を託している可能性が高い。
幸便は「幸いそちらへ赴く者がおりますので」とした意味があるからだ。

丸島和洋(2013)「戦国大名の「外交」」講談社参照

金子・・・きんす

(意味)金貨。小判。貨幣。金銭。単位は両(りょう)。金1両が銀60もんめ=約13万円(江戸時代の相場で)

銀子・・・ぎんす

(意味)銀貨。多くは丁銀(ちょうぎん)を指す。長さ約9センチメートル、重さ約160グラムの長円形の銀塊で、紙に包み、封をしたまま用いて「銀何枚」と数える。贈答などに用いた。単位は匁(もんめ)。銀1匁あたり約2166円(江戸時代の相場で)

禁制・・・きんぜい

(意味)権力者が寺社や惣中に対して、その保護と統制を目的として、自軍が乱妨狼藉などの破壊行為等を行わないことを約束・通知するために出した文書。
禁札(きんさつ)・制札(せいさつ)とも呼ばれる。

織田信長加納に掲げた制札+釈文を加えた

円徳寺所蔵文書(永禄十一年九月日付織田信長禁制)』釈文

 (備考)権力者にあらかじめ金品を渡して禁制を発給してもらう例もあった。

関連記事:武田信玄の侵略からたった一人で寺を守りきった住職の苦労とは!?

公事・・・くじ

(意味)
①朝廷における公式行事の意

②荘園制下において、年貢以外に公の機関がその徴収(賦課)や服務(夫役)を義務付けた金品や業務のこと

③公の機関が調停する紛争(相論)のこと

曲・曲事・・・くせごと

(意味)不正な事柄、違反、法に背くこと

件・・・くだん・けん

(意味)きまり、例の、前に述べた等。他の字とセットで用いられることが多い。仍状如件よってくだんのごとし依如件よってくだんのごとしによく出る

国質・・・くにじち

(意味)その国で抵当権を執行すること。
債権者が債務者に対して質取(私的差し押さえ)行為を行うこと。
債権者が他国の債務者による債務不履行に際し、その債務者にかわり債務者と同じ両国に所属し差し押さえ可能な人、またはその人の土地・所領を実力で質取する行為。

組頭・・・くみがしら

(意味)組織の一隊を指揮するかしら、江戸時代や農村では村方三役の一つ。名主、庄屋を補佐する

委事・・・くわしきこと

(意味)詳しいこと、詳細、委細のこと。

 (備考)送り仮名をつけるならば「委わしき事」となる。
古文書ではしばしば文章の終りの方で登場する。
委事、〇〇可申候也、(委しき事は〇〇申すべく候なり)」
のように書かれている場合が多い。
“委事”の部分は「委曲(いきょく)」と記されていることもよくある。

懈怠・・・けたい

(意味)怠けること。怠ること。

 (備考)もとは仏界用語”精進しょうじん“の対比として用いられたと考えられる。

下知・・・げち

(意味)命令すること

闕・・・けつ、かけ

(意味)「欠」と同じ意味

闕字・欠字・・・けつじ

(意味)書状を書く際、意図があって一字分スペースを空けること。
立場が上の人物に対して敬意を払うためのもの。

 (備考)
以下の例は織田信長が将軍足利義昭の御内書(ごないしょ)に対して敬意を払っているもの。
このような形で一字分空けられることがある。

闕字とは何か

闕字の例

関連記事:【古文書入門】解読の基本を織田信長の書状から学ぶ-4.闕字とは何か

なお、最大限に敬意を払った書き方だと、一行分まるまるスペースを空けることもある。
これを「平出(へいしゅつ)」と呼ぶ。

闕所・欠所・・・けっしょ

①領主の決まっていない土地。
②領地または財産などを官が没収すること。
③裁判で改替されたりした荘園の諸職。

 (備考)
中世では、戦闘に敗れた領主が所領を奪われ、その土地が「闕所」と表現されることがあった。
知行目録等の文書で「〇〇(氏名)分」と記されている場合、その可能性が高い。

関連記事:~忠義か家名存続か~戦国時代の書状から見える闕所(欠所)の無常さ

見除・・・けんじょ

(意味)無視すること

譴責使・・・けんせきし

(意味)年貢などを納める百姓を勘責し、催促を行うための使い。
督促使。

検断・・・けんだん

(意味)
「検」は検察してその不法を糾弾すること。
「断」は断獄(罪を裁く)すること。
中世日本における警察・治安維持・刑事裁判を総括する言葉で、論人(被告人)の取調と裁判・判決・執行までを含めた広い意味で用いられる。

 (備考)
検断を行う権限を検断権、その訴訟のことを検断沙汰、その職責にあるものを検断職(けんだんしき)、裁判の結果、没収された財産のことを検断物(けんだんもつ)と呼ぶ。

『室町・戦国時代の法の世界(吉川弘文館)』によると、室町幕府の裁判の特色は、将軍(室町殿)による親裁(御前沙汰)が主流であり、特に義持・義教期には判決手続きに管領職(細川・斯波・畠山の中から)が関与する形式をとりつつ、訴人(原告)と論人(被告)との対審をふまえて裁許を下す傾向にあったようだ。

さらに御前沙汰(将軍の親裁)はおもに所領・所職をめぐる訴訟、政所(まんどころ)は執事(頭人とも)と執事代はおもに徳政令の適用・債権債務関係をめぐる訴訟(政所沙汰)、侍所(さむらいどころ)は所司(赤松・京極・山名・一色の中から)と所司代はおもに洛中の検断に関する訴訟(侍所沙汰)をそれぞれ管轄した。
各機関には奉行人(寄人)が分属し、時には兼任もあった。

権門・・・けんもん

(意味)権勢のある家格・門閥・官位官職を有する家、または集団を指す。
勢家(せいか・せいけ)と同義。

所希候・・・こい(ひ)ねがうところにてそうろう

(意味)強く願うこと、切望すること。乞い願うこと。

 (備考)例文として以下のように用いられる傾向にある。


「御懇之至、畏存之由候、在洛之条、切々可被仰通候事、所希候、」
 (御懇ろの至り、畏み存ずるの由に候。在洛の条、切々仰せ通ぜらるべく候事、乞い願う所にて候。)

(現代語訳)
  懇意にして下さることは大変ありがたい限りです。
私共が京都に居る際は、何なりとも御用件を御申し付けください。

  『小早川家文書(十一月七日付羽柴秀吉・武井夕庵連署副状 1573)』

号・・・ごうす

(意味)称する

勾当内侍・・・こうとうのないし

(意味)宮中女官の四等官のうち、掌侍ないのしょうの第一位の者で、天皇への取次や天皇の意思伝達を役目とした。
長橋局(ながはしのつぼね)とも呼ばれた。

向後・・・きょうこう・こうご

(意味)今後、これからのち

 (備考)江戸時代あたりからしだいに現在の「こうご」と呼ばれるようになったようだ。

爰元・爰許・・・ここもと

(意味)こちら、当方、自分のこと。
此方(こなた)と同義。
 (備考)相手方のことを其許(そこもと)などと呼ぶ。

越・・・こす・こし

(意味)行く、来る

 (備考)「お越しになる」は相手が来る。「罷越まかりこす」は自分が行く。どちらもよく用いられる。 

如・・・ごとく・ごとき

(意味)~のように

 (備考)返読文字となるので注意。
「如先々(先々の如く)」、「仍如件(仍ってくだんの如し)」など

異・・・ことなる

(意味)違う、違った

殊・・・ことに

(意味)とりわけ、特別。その上、加えて。

理・・・ことわり

(意味)道理、筋道。理屈、説明、または理由。

断・・・ことわり

(意味)ことわること、または報告

御内書・・・ごないしょ

(意味)室町幕府の将軍が発給した書状の一種。
元来は従三位以上の高貴な人物が発給する御教書(みぎょうしょ)が公的な文書(書下(かきくだし)あるいは下知状)だったのに対し、御内書は若干カジュアルで私的な書状であった。
時代が進むにつれてその区別が薄れ、やがて御内書も側近の副状(そえじょう)が付されて公的なものへと変化していった。

 (備考)
天皇が発給する綸旨にも同じことが言えると思うが、発給の手続きが簡便かつ守備範囲の広い形態こそが、やがて公式なものへと変化するものなのだろう。

此方・・・こなた

(意味) こちら、当方、自分のこと。
爰元(ここもと)と同義。

 (備考)相手方のことを其方(そなた・そのほう)あるいは其許(そこもと)などと呼ぶ。
あちらは彼方(かなた)。

此上・・・このうえ

(意味)これ以上、事がこのようになったからには

此段・・・このだん

(意味)これらの件について

因茲、是由・・・これにより、これによりて

(意味)このことによって。こういうわけだから。隣の中国では今日でも用いられている

此等・・・これら

(意味)これらの、これらの事柄は

  1. 「さ」~「と」
  2. 「な」~「ほ」
  3. 「ま」~「ん」
  4. 古文書解読の基本的な事 返読文字によくある傾向を実際の古文書を例に説明

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