古文書解読の基本的な事 よく出る単語編 五十音順「さ」~「と」

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古文書解読の基本的な事 よく出る単語編 五十音順「さ」~「と」

こんばんはー!
今回は古文書解読編 基礎の第2段目
自分がこういうサイトがほしい~と思っていた
部分を凝縮しました^^
何かの参考になれば幸いです。

あ、あとくずし字の解読はまた別の記事にということで、
正しくは「書き下し文の事典」みたいな感じですね。

目次をクリックorタップしたら見たい所に飛べるヨ。

「さ」行

差置・・・さしおき
(意味)~を差し置き、差し置いて
 (備考)「閣私意趣」で「私の意趣をさしおき」と読む。

差出、指出・・・さしだし
(意味)提出する。物や書類に限らず、土地・知行を含まれることもある

差遣・・・さしつかわし
(意味)使者や軍勢を出すこと。派遣する

沙汰・・・さた
(意味)処理すること。行動すること。決裁すること。取り上げること。
 (備考)「無沙汰」は怠慢で義務を怠ること。「沙汰之限さたのかぎり」はもうどうしようもないこと。今日用いられる、CPUやHDDに繋げられる「SATAケーブル」とは少しだけ意味合いが異なる。

定而、定・・・さだめて
(意味) 必ず、きっと、まちがいなく

・・・さて
(意味)それで、ところで

扨措扨置・・・さておき
(意味)それはそれとして。ひとまずそれは置いといて

沙法・・・さほう
(意味)作法のこと。しきたり。きまり。

乍去・・・さりながら
(意味)しかしながら
 (備考)「乍」単独では「ながら」。他にも「られ」、「べく」など、中国読みの名残で逆に読むことがあり、古文書好き好き野郎を困らせることがしばしばある。

・・・さんじゅう
(意味)30
 (備考)卅匁や卅俵など、昔は普通にこの漢字が使われた。ちなみに10は拾。20は廿(〹)

仕合・・・しあわせ
(意味)幸運、幸せ。
 (備考)「難有仕合」だと「ありがたき幸せ」となる。難ありな試合ではないので注意

不如不若・・・しかず
(意味)~に及ばない、~に匹敵できない
 (備考)「AはBにしかず」なら、「AはBに及ばない」、「Bの方が良い」となる

然而、然、併・・・しかり、しかして
(意味)そうだよ(便乗)
 (備考)「雖然」は「しかれども」と返読になるので注意。「雖」単体なら「いえども」

然者・・・しからば、しかれば
(意味)それならば。そうであるからには

然上者・・・しかるうえは
(意味)そうであるからには。もうこうなったからには
 (備考)前述のしからばとほぼ同じだが、少しニュアンスが違う。「ええい!水戸のご老公にバレたのではもはやただでは済まされぬ。しかるうえは・・・こやつらを斬りすてぃ!」フラグ

然処・・・しかるところ
(意味)ところが、しかし。
 (備考)例文として

是非共二三十羽の孔雀を捕獲致さざるべからずと存候。然る所孔雀は・・・

夏目漱石 「吾輩は猫である」

・・・しく、しき
(意味)物を地や底などに敷くこと。陣を布陣するときにも用いられる
 (備考)「有間敷」は「あるまじき」と読み、違った意味となる

・・・しきりに
(意味)その程度が並み並みでないさま。しばしば・たびたび
 (備考)現在でも使う表現ですが、昔はこの文字1字で”しきりに”と読んだ。
“頻に”と表現する場合もある。

次第・・・しだい
(意味)順序、事情、筋道、いきさつ

仍執達如件・・・しったつくだんのごとし
(意味)「以上が誰々様の御意向である」
 (備考)「仍状如件よってくだんのごとし」と同じく、禁制などの文書の最後の方に用いられる。

仕廻仕舞・・・しまい
(意味)しまうこと、片付けること。

・・・しむ・せしむ
(意味)~させる、~をなさる、~をあそばす、~させていただく、
 (備考)動詞の「Do」みたいな位置づけ。まれに返読文になるときがあるので注意。

祝着・・・しゅうちゃく
(意味)喜ばしいこと

状如件・・・じょうくだんのごとし
(意味)書き留め文言の一つで「この件は以上の通りである」の意。
制札や目下の者に対してよく用いられるいわば決まり文句。
「如」が返読文字になっているので、語順が異なる。
同じような意味で「仍如件(よってくだんのごとし)」、「執達如件(しったつくだんのごとし)」などがある。

条々・・・じょうじょう
(意味)一つ一つの箇条

如才如在・・・じょさい
(意味)形ばかりでいい加減にすること。なおざりにすること。手抜かり。気を使わないために生じた手落ちがあること
 (備考)この字の後に否定の語が続くことが多い。


  (例文)
如在申間敷旨候間、
 (如才申すまじき旨に候間、)
   =口ごたえを申してはいけないという旨なので、

  (推定天正十九年)七月二十二日付前田利家書状より抜粋

所務・・・しょむ
(意味)職務、役目、領内の政治、

・・・じん、に
(意味)人、御仁。まれに「~に」の場合もある

・・・す、ず
(意味)~にあらず。否定形
 (備考)返読文字=戻って読むものなので注意

進置・・・すすみおき
(意味)すすめておいて、とりあえずすすめて
 (備考)「可進置」は「すすみおくべく」と読む。返読するので注意

便・・・すなわち(すなはち)
(意味)いろいろな意味がある。
①すぐに
②そこで、その時
③・・・ならば、そうだから、その時には

都而・・・すべて
 (意味)全て、全部

静謐・・・せいひつ

(意味)世の中が穏やかに治まっていること

 (備考)戦国時代の外交文書では割とよく出る。「天下弥静謐に・・・」などと用いられることが多い。

・・・せしむ、しむ
し項の「しむ」を参照

疎意・・・そい
(意味)避けようとする気持ち、遠ざけようとする気持ち

無疎意・・・そいなき
(意味)決して粗略には扱わぬという意味。重く用いるということ。
 (備考)地味に古文書頻出する単語。当主が家来に対して出す書状によく見られる。戦国時代は「無疎意」の大安売りで価値を下げている感がある。

候而者・・・そうらいては
(意味)~しては

候得共候共・・・そうらえども、そうろうども
(意味)~であるが

・・・そうろう
(意味)今日の「です」「ます」に当たる言葉。文の区切り。

候上者・・・そうろううえは
(意味)~したうえは

候条・・・そうろうじょう
(意味)「条」だけの場合もある。

候間・・・そうろうあいだ
(意味)~でありますので

・・・そしり
(意味)他人をそしる。悪口

・・・そなえる、そなえ
(意味)前もって用意する。そなえる

其上其外其段其故・・・そのうえ、そのほか、そのだん、それゆえ
(意味)さらに、それに加えて、その件

・・・そもそも
(意味)この言葉自体に意味はない。そもそもの始まりは~などと発端の前置詞として用いられることが多い

「た」行

代官・・・だいかん
(意味)直轄地において、主君の代わりに領内政治、統治を行う地方官
 (備考)いつもいつも商家の越後屋とつるんでいるイメージがあるが、必ずしもそうではない

・・・たいして
(意味)たいする、たいして

・・・だす
(意味)出る、出す

・・・たっす
(意味)~に至る、達成する

達而、達・・・たって、たっての
(意味)どうしても、強いて

縦令、縦、仮令、仮・・・たとえ・たとい
(意味)例え、例えば
 (備考)例をあげると


去程に、常々奥方抔(など)のことをば争(いかで)か存知候べき、縦令(たとい)ば表なりとも我と見ざること多かりけれ。

(さて、常日頃、奥方などのことを如何に伺い知ることができようか。
例え表向きのことであっても、見えないことが多いだろう。 )

  政宗記「政宗一代之行儀」より

・・・たてまつる、たてまつり
(意味)差し上げる、献上する。~になる。または~申し上げる
 (備考)「奉申上候もうしあげたてまつりそうろう」のように、返読文字になる場合も多い

・・・ため、なす
(意味)「~のため」「~となす」
 (備考)返読文字に用いられるので注意

・・・たまう、たもう
(意味)もらう、授かる、賜わる、目上の人から戴く

だに・・・だに
(意味)~でさえも、~でさえ、~ですら
 (備考)戦国時代の和歌で散見されるので載せた。例として

さらぬだに打ちぬる程も夏の夜に別れを誘うほととぎすかな
 (さらぬだに 打ちぬる程も 夏の夜に 別れを誘う ほととぎすかな)

   小谷御前(お市)辞世の句

関連記事:和歌や俳句でよく詠まれる「ほととぎす」にはどのような意味が隠されているのか

頼母敷・・・たのもしく、たのもしき
(意味)「頼もしい」の連用形
 (備考)「頼母」だけで”たのも”と読む。

知行・・・ちぎょう
(意味)扶持ふち(給料)ではなく、土地の支配権をのこと

馳走・・・ちそう
(意味)走り回ること。奔走。食事を出すなどして客をもてなすこと
 (備考)現在では自分からもてなすときにのみ用いられるが、昔は目上の者が「馳走せよ」とかなり上から目線で用いられることが普通であった。何気に「馳走」という単語は、古文書で頻出するワードである。 

・・・ちゅうす
(意味)罪あるものを殺すこと。謀りごとをもって殺すこと
 (備考)「〇〇寺爾於被誅候」(〇〇てらにおいてちゅうせられそうろう)のように、返読とセットになる場合もある。

忠節・・・ちゅうせつ
(意味)主君などに忠義を尽くすこと

停止・・・ちょうじ・ていし
(意味)差し止めること。やめさせること。
 (備考)古文書の世界では、よく「停止(ちょうじ)せし畢(おわんぬ)」などと使います。

打擲・・・ちょうちゃく
(意味)打ちのめされること。殴ること。

智略、知略、智謀、知謀・・・ちりゃく、ちぼう
(意味)智慧ちえを働かせること、はかりごと、謀略

珍重・・・ちんちょう
(意味)めでたいこと、祝うべきこと。または珍しいものとして大切にすること

・・・ついて
(意味)おもむく。つきしたがう。つく。仕事にとりかかる。
 (備考)返読文字=戻って読むものなので注意

付而・・・ついて、つき
(意味)おもむく。つきしたがう。つく。仕事にとりかかる。
 (備考)「被為在候哉之御儀ニ付而者」は「在らせられ候うやの御儀おんぎに付きては」とこれも返読するので注意。「付」は頻出度高し

仕度・・・つかまつりたく
 (意味)~致しの未然形・連用形。

・・・つかわす
(意味)行かせる、使いとしてやる、つかわす、(物品を)おくる


  (例文)
辞令 御用有之米国ヘ被差遣候事
 (辞令、御用これ有り米国へ差し遣わされ候の事)

   (辞令他 明治9年5月以降 宮内省より)

・・・つぎに、ついで
(意味)すぐあとに続くこと、順序・順位がすぐあと

・・・つくす
(意味)尽きるまでする。他のもののために、精一杯働く。尽力する。
 (備考)これも返読文字=戻って読むものなので注意

・・・つぶさに
(意味)詳細に、詳しく。
 (備考)現在では「具(つぶさ)に」と送り仮名がつくが、昔はこれ一字で「つぶさに」と読んだ。


(例文)
理共具聞届候
 (ことわりともに、つぶさに聞き届け候)

(元亀四年二月二十九日付け織田信長書状) より抜粋

理(ことわり)共(とも)具(つぶさに)聞届(ききとどけ)候(そうろう)。

関連記事:【古文書講座】将軍義昭挙兵 和平を望む信長が細川藤孝に宛てた書状を解読

・・・て
(意味)~て
 (備考)今日では「じ」と読み、ほんの稀に用いられているが、昔は「~て」の方が一般的であった

逼塞・・・とうそく
(意味)ひきこもること。姿を隠すこと。刑罰の一つ。武士や僧に科された謹慎刑。門を閉じ、昼間を出入りを禁じられた。「蟄居」や「閉門」と似ている

當手・・・とうて
(意味)当手。当方の軍勢など


  (例文)
一 當手軍勢濫妨狼藉之事とうてぐんぜいらんぼうろうぜきのこと

  『織田信長発給 東寺所蔵禁制より

・・・とげ、ついに、つい
(意味)目的を達成する。とうとう。

取出・・・とりで
(意味)砦のこと。要塞

・・・とる
(意味)取る

来世ちゃん
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  2. 「な」~「ほ」
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  4. 古文書解読の基本的な事 返読文字によくある傾向を実際の古文書を例に説明
来世ちゃん
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