大名の正室は政略結婚が当たり前 メリットとデメリットは(前編)

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大名の正室は政略結婚が当たり前 メリットとデメリットは(前編)
来世ちゃん
来世ちゃん

こんばんは~。
今日は戦国時代の政略結婚について書きます。
大名の正室は、親同士が決めた政略結婚がほとんどでした。
今回は政略結婚の種類についてです。

政略結婚とは

 政略結婚の意味をwikipediaから抜粋すると

政略結婚(せいりゃくけっこん、英: political marriage, marriage of state)とは、結婚当事者の家長または親権者が、自己や家(一族)の利益のために、結婚することになる当人たちの意向を無視してさせる結婚[1]。

結婚する当人たちの気持ちを無視し、政治的な駆け引きや政治的な利用を主たる目的として、親や家長が決めてしまう結婚を指す。

wikipediaより「政略結婚」

とある。
これは大名や貴族だけではなく、現在の一般社会でもよく行われている。
さらに、世界のあらゆる文明でも古来からよく行われているものだった。

戦国大名の間で政略結婚が行われる主な目的は

  1. 同盟を結び戦争を回避する目的
  2. 遠国と同盟を結び、第3国を侵略する目的
  3. 結婚相手の家の家督を継承する目的
  4. 経済的支援を得る目的

である。

実際に戦国時代にあった例で、その目的と理由を見てみよう。

1.同盟を結び戦争を回避する目的

 これは非常に多い例だ。
例えば織田信秀と斎藤道三が結んだ婚姻同盟。
道三の娘を織田信秀嫡男の織田信長に嫁いだ。
戦争を回避し、軍事同盟(攻守同盟)を結ぶ目的で行われた。

そのわずか数年後に織田信秀は病死しているが、織田信長の援軍要請に応じた斎藤道三が家臣を出陣させたりと同盟は機能している。

また、織田信長と斎藤道三の娘の間に男子ができた場合、嫡男として織田家の世継ぎ候補ナンバー1になる可能性が高い。
もし織田信長が死去した場合、斎藤家は織田家に影響力を持ち続け、同盟関係が続く可能性がある。
さらにいえば織田家を乗っ取るチャンスでもあるのだ。

斎藤道三
斎藤道三肖像

他にも島津家と肝付家、武田家と諏訪家、武田家と今川家と北条家、織田家と徳川家、織田家と浅井家、佐竹家と伊達家、毛利家と吉川家などなどたくさん例がある。

現在の社会でいえば、財閥同士が結婚する場合であろうか。

2.遠国と同盟を結び、第3国を侵略する目的

 これはいわゆる「遠交近攻策」である。
自国がAとし、隣にB国があり、Bの奥にC国があった場合、AとCが同盟を結んでBを攻めたら楽じゃんという考え方だ。

例えば北条氏綱が古河公方の足利晴氏に娘を嫁いで婚姻同盟を結び、小弓公方の足利義明を攻め滅ぼした例であろうか。

北条氏綱肖像

北条氏綱肖像

豊臣秀吉死後の徳川家康が伊達政宗、黒田長政、池田輝政などと婚を通じたのもこの例に当たるかもしれない。

3.結婚相手の家の家督を継承する目的

 これは主に男性が女性の実家の家督を継承する例だ。
婿養子となって家督を継承する例だ。

例えば毛利元就の子・徳寿丸が安芸小早川家の分家の養子となった例。
婿養子として分家の当主となったが、あまりにも有能すぎてついに小早川本家の当主の妹と結婚し、そのまま本家の家督を継承した。
この人物が小早川隆景である。

小早川隆景肖像画

小早川隆景肖像

他にも蘆名家を乗っ取った佐竹家からの養子・蘆名義広(佐竹義重の子)、北畠家を乗っ取った織田家からの養子・織田(北畠具豊)信雄(織田信長の子)などだ。

現在でも婿養子となる例は多々あるだろう。
ああ。石油王の婿養子になりてぇ…

4.経済的支援を得る目的

 要するに経済力がないけどめちゃくちゃ有能で、資金援助をしてやれば将来すごい人になる若者に、娘を嫁がせる又は婿養子として呼び寄せる例だ。
先述した「結婚相手の家の家督を継承する目的」と少し似ている。

これは戦国時代ではあまりないかもしれないが、現代社会の方はたまにあること。
小説でドラマ化までされた「白い巨塔」の主人公・財前五郎がまさにそれであろう。

現実でも戦前に総理大臣にまで上り詰めた若槻禮次郎であろうか。

若槻礼次郎
若槻禮次郎

めちゃくちゃ貧乏だけど勉強ができまくったため、遠い親戚の若槻敬の娘を娶り、婿養子となった。

のちに内閣総理大臣となり、平和主義者として昭和天皇から大変気にいられていた。
しかし、朴烈大逆事件の対応などで田中義一率いる野党の政友会などに攻撃され、内閣総辞職をしてしまった。

このように文明や民族、時代に問わず、いろんな種類の政略結婚が行われていた。

来世ちゃん
来世ちゃん

ご覧いただきありがとうございます。
次回は後編として「安全保障と人質」、「侍女の役割」、「東北地方の複雑に絡み合う婚姻同盟」、「正室と側室」、「御家騒動がよくおきるわけ」などを書きます。

⇒大名の正室は政略結婚が当たり前 メリットとデメリットは(後編)

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