こんばんは~。
前回は干支には十干(じっかん)と十二支があると説明しましたが、今回は干支全60通りのうち、後半の30パターンの説明をします。
これは「庚子(かのえね)年生まれの性格は?」
という記事ではなく、
「庚子年にはどんな性質がある?」といった記事です。
占い的な要素もあると思いますが、干支の占いも、そもそもは占星術です。
ただ、私は占い師ほど勉強はしていませんので、あくまで備忘録として簡単にまとめます。
今年2020年にあたる庚子(かのえね)と2021年にあたる辛丑(かのとうし)はこのページです。
- 四柱推命とか十二支占いではない干支を知りたい
- そもそもの干支の成り立ちを知りたい
- 過去にこの干支に何があったのかを知りたい
- 改元するタイミングはどうなの?
- 性格占いではなく、もっと政治的な意味を知りたい
- 讖緯説とは何ですか?
- 辛酉が特にやばいと聞いて
- 干支の表
- 甲午(きのえうま)年の性質
- 乙未(きのとひつじ)年の性質
- 丙申(ひのえさる)年の性質
- 丁酉(ひのととり)年の性質
- 戊戌(つちのえいぬ)年の性質
- 己亥(つちのとい)年の性質 (2019年)
- 庚子(かのえね)年の性質 (2020年)
- 辛丑(かのとうし)年の性質 (2021年)
- 壬寅(みずのえとら)年の特徴
- 癸卯(みずのとう)年の特徴
- 甲辰(きのえたつ)年の特徴
- 乙巳(きのとみ)年の特徴
- 丙午(ひのえうま)年の特徴
- 丁未(ひのとひつじ)年の特徴
- 戊申(つちのえさる)年の特徴
- 己酉(つちのととり)年の特徴
- 庚戌(かのえいぬ)年の特徴
- 辛亥(かのとい)年の特徴
- 壬子(みずのえね)年の特徴
- 癸丑(みずのとうし)年の特徴
- 甲寅(きのえとら)年の特徴
- 乙卯(きのとう)年の特徴
- 丙辰(ひのえたつ)年の特徴
- 丁巳(ひのとみ)年の特徴
- 戊午(つちのえうま)年の特徴
- 己未(つちのとひつじ)年の特徴
- 庚申(かのえさる)年の特徴
- 辛酉(かのととり)年の特徴
- 壬戌(みずのえいぬ)年の特徴
- 癸亥(みずのとい)年の特徴
干支の表
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 |
甲子 | 乙丑 | 丙寅 | 丁卯 | 戊辰 | 己巳 |
きのえね | きのとうし | ひのえとら | ひのとう | つちのえたつ | つちのとみ |
7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 |
庚午 | 辛未 | 壬申 | 癸酉 | 甲戌 | 乙亥 |
かのえうま | かのとひつじ | みずのえさる | みずのととり | きのえいぬ | きのとい |
13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 |
丙子 | 丁丑 | 戊寅 | 己卯 | 庚辰 | 辛巳 |
ひのえね | ひのとうし | つちのえとら | つちのとう | かのえたつ | かのとみ |
19 | 20 | 21 | 22 | 23 | 24 |
壬午 | 癸未 | 甲申 | 乙酉 | 丙戌 | 丁亥 |
みずのえうま | みずのとひつじ | きのえさる | きのととり | ひのえいぬ | ひのとい |
25 | 26 | 27 | 28 | 29 | 30 |
戊子 | 己丑 | 庚寅 | 辛卯 | 壬辰 | 癸巳 |
つちのえね | つちのとうし | かのえとら | かのとう | みずのえたつ | みずのとみ |
31 | 32 | 33 | 34 | 35 | 36 |
甲午 | 乙未 | 丙申 | 丁酉 | 戊戌 | 己亥 |
きのえうま | きのとひつじ | ひのえさる | ひのととり | つちのえいぬ | つちのとい |
37 | 38 | 39 | 40 | 41 | 42 |
庚子 | 辛丑 | 壬寅 | 癸卯 | 甲辰 | 乙巳 |
かのえね | かのとうし | みずのえとら | みずのとう | きのえたつ | きのとみ |
43 | 44 | 45 | 46 | 47 | 48 |
丙午 | 丁未 | 戊申 | 己酉 | 庚戌 | 辛亥 |
ひのえうま | ひのとひつじ | つちのえさる | つちのととり | かのえいぬ | かのとい |
49 | 50 | 51 | 52 | 53 | 54 |
壬子 | 癸丑 | 甲寅 | 乙卯 | 丙辰 | 丁巳 |
みずのえね | みずのとうし | きのえとら | きのとう | ひのえたつ | ひのとみ |
55 | 56 | 57 | 58 | 59 | 60 |
戊午 | 己未 | 庚申 | 辛酉 | 壬戌 | 癸亥 |
つちのえうま | つちのとひつじ | かのえさる | かのととり | みずのえいぬ | みずのとい |
干支は十二支と十干(じっかん)の組み合わせ。
十二支と十干の詳しい内容は以前の記事に載せているので、そちらをご参照いただきたい。
関連記事:2020年の干支は庚子!日本における干支の算出方法とそれぞれの意味とは(1)
今回の記事は30番目の甲午(きのえうま)~60番目の癸亥(みずのとい)までの干支の特徴を載せている。
甲午の直近は2014年、次が2074年。
癸亥の直近は1983年、次が2043年となっている。
1番目の甲子(きのえね)から30番目の癸巳(みずのとみ)は前回の記事をご参照いただきたい。
年 | 干支 | 読み |
平成28年(2016) | 丙申 | ひのえさる |
平成29年(2017) | 丁酉 | ひのととり |
平成30年(2018) | 戊戌 | つちのえいぬ |
平成31年(2019) (令和元年) | 乙亥 | つちのとい |
令和2年(2020) | 庚子 | かのえね |
令和3年(2021) | 辛丑 | かのとうし |
令和4年(2022) | 壬寅 | みずのえとら |
令和5年(2023) | 癸卯 | みずのとう |
令和6年(2024) | 甲辰 | きのえたつ |
甲午(きのえうま)年の性質
甲は木の兄(きのえ)ともいう。
甲の字は亀の甲羅を形どったもので、そこから植物の固い種子を表すようになった。
午は「忤」の字から来ており、逆らうの意味。
草木の成長が極限を過ぎ、衰えの兆しを見せ始めた状態を表す。
午前、正午、午後はそこからきている。
のちに動物の馬が割り当てられた。
過去の甲年には甲子(きのえね)、甲戌(きのえいぬ)、甲申(きのえさる)・・・と天変地異や政変が相次ぎ改元も多かったが、甲午はどうだったかというと・・・
改元は古代から数えて3回くらいと少なめ。
大きな事件は藤原京に遷都(694)、日清戦争(1894)くらいだ。
織田信長公が生まれた干支(1534)だから悪い年のはずがないよなぁ?(支離滅裂)
なお、次の甲午年は2074年である。
乙未(きのとひつじ)年の性質
乙は木の弟(きのと)ともいう。
己は三本の平行線を形取ったもので、そこから、条理が整然としている状態。
また、植物が充分生長し形が整然としている様子を表す。
未は「暗い」という意味で、植物が鬱蒼と生い茂って、果実が熟して滋味が生じた状態を表す。
のちに日本では動物の羊が割り当てられたが、中国ではヤギ、ガゼル、レイヨウなどを指す。
過去の改元と大きな事件および政変は
貞観17年(875)
東北で大規模な反乱。
承平5年(935)
平将門の乱が発生。
正暦6年から長徳へ改元(995)
承安5年から安元へ改元(1175)
文暦2年から嘉禎へ改元(1235)
応永22年(1415)
足利義持による北畠満雅討伐。
日本各地で冷害による不作。
承応4年から明暦元年へ改元(1655)
明治28年(1895)
朝鮮半島で日清戦争の余波ともいえる乙未事変発生。
改元が5回と普通くらいか。
平将門の乱の印象が強いが、全体的に見るとそこまで事件は起きていない。
なお、次の乙未年は2075年である。
丙申(ひのえさる)年の性質
丙は火の兄(ひのえ)ともいう。
丙の字は、脚が張り出た台を文字にしたもので、そこから芽が地上に出て葉が張り出て広がった状態を表す。
申は呻(うめ)くという意味で、果実が成熟して固まって行く状態を表しているとされる。
のちに動物の猿が割り当てられた。
丙年は火災に注意した方が良いという迷信があるが、過去の改元と事件を調べると
舒明天皇8年(636)
岡本宮火災で炎上し、田中宮に移る。
天平勝宝(756)
聖武上皇が死去。(皇位はすでに孝謙天皇が)
南北朝時代
北朝: 文和5年から延文へ改元(1356)
応永23年(1416)
上杉禅秀の乱が勃発。
足利義持が内通。
文明8年(1476)
長尾景春の乱。(のちに太田道灌らが鎮圧)
文禄5年から慶長に改元(1596)
慶長大地震により伊予・豊後・京都に大きな被害。
スペイン船の漂着で乗組員全員を処刑するに至ったサン=フェリペ号事件が起きる。
正徳6年から享保へ改元(1716)
徳川吉宗による享保の改革がはじまる。
南九州の新燃岳による享保噴火がはじまる。
明治29年(1896)
明治三陸大津波で2万人が犠牲に。
東北で陸羽地震。
平成28年(2016)
熊本で震度6強の大地震が2回発生。
台風9号により北海道で未曽有の大被害。
と古代から数えて改元は2回(南北朝時代を合わせると3回)ほどと少ないものの、災害がやや多め。
火だけでなく、記録に残るレベルで水害も多いようだ。
なお、次の丙申年は2076年となる。
丁酉(ひのととり)年の性質
丁は火の弟(ひのと)ともいう。
丁の字は釘を形どったもので、安定を表す。
また、植物が成長し一定の大きさに達した状態をいう。
酉という字は元来、縮むという意味で用いられており、果実が成熟の極限に達した状態を表していたが、のちに動物の鳥が割り当てられた。
丙(ひのえ)、丁(ひのと)は火災が多いとされている。
江戸の三大大火として有名な明暦の大火と文化の大火は、それぞれ丁年、丙年に起きている。
特に明暦の大火(1806)は丁酉の年である。
参考までに
明暦3年(1657) 丁酉 明暦の大火
江戸三大大火の一つ。
江戸城をはじめ市中の六割を焼き、焼死者11万人にものぼった江戸時代最大の火事となった。
振り袖火事という別名もある。
文化3年(1806) 丙寅 文化の大火
江戸三大大火の一つ。
材木座付近で発生した火災で芝の薩摩藩上屋敷と増上寺五重塔が全焼。
さらに西南の強風にあおられて木挽町、数寄屋橋、京橋、日本橋、神田、浅草にまで燃え移った。
丙寅の大火、車町火事、牛町家事という別名もある。
芝で出火し浅草方面までを焼きつくす。
なお、次の丁酉年は2077年である。
戊戌(つちのえいぬ)年の性質
戊は土の兄(つちのえ)ともいい、「茂」を表している。
植物の成長が絶頂期を迎えた状態。
戌はもともと「滅」を意味し、草木が枯れる冬の状態を表しているとされる。
のちに動物の犬が割り当てられた。
転落する時代を意味しているように見えるが、歴史的に見ても
天武天皇2年(698)
日本各地に疫病が流行。
弘仁9年(818)
関東で大地震が発生。
元慶2年(878)
元慶の乱。
前年に次ぐ旱魃による大飢饉が発生。
立て続けに天変地異が起きたためか、戊戌年になったときは改元することが多くなり
938年には承平から天慶へと改元。
1058年にも天喜から康平へ改元。
続く1118年にも永久から元永へ改元。
1238年にも嘉禎から暦仁へ改元。
そこからしばらく戊戌年がきても天災が起きなかったためか、改元が行われなくなった。
しかし、
慶長3年(1598)豊臣秀吉の死去と徳川家康暗殺の風説。(2年後に関ケ原の合戦)
それがあってか再び改元の流れになり、
1658年に明暦から万治へ改元している。
近代では中国で戊戌の政変(1898年)が起き、清王朝を揺るがす大きな混乱を引き起こした。
といった具合で古代を中心に天災が頻発し、明らかにそれを警戒して改元されていたことが窺える。
直近の戊戌は2018年となる。
森友学園・加計学園の追及で野党とマスメディアが政権へ攻勢を強めた年であり、台風で北海道が大きな被害を受けた年でもあった。
なお、次の戊戌年は2078年である。
己亥(つちのとい)年の性質 (2019年)
己は三本の平行線を形取ったもので、そこから、条理が整然としている状態。
「紀」に通じ、分散を防ぐ統制作用がある。
また、植物が充分生長し形が整然としている様子を表す。
亥は「閉ざす」からきていて、草木の生命力が種子の中に閉じ込められている状態を表す。
のちに動物のイノシシが割り当てられた。
亥がイノシシというのは非常に良い例えのようで、良くも悪くも非常に強い直進的なエネルギーである。
その爆発的なエネルギーが次の子(ね)の発生にも繋がると考えると、猪突猛進という言葉は言い得て妙である。
整然としているが爆発力がある。
そんなチグハグな干支が、政治的にもあまり良い年ではないという認識をされているのかもしれない。
過去を見ると
元慶3年(879)
元慶の乱が終結。
天慶2年(939)
平将門が上野・下野両国を制圧し、新皇を称す。
また、藤原純友の乱が発生したのもこの年。
治承3年(1179)
平清盛が後白河法皇を幽閉した治承三年の政変。
応永26年(1419)
李氏朝鮮軍が対馬へ攻め込んだ応永の外寇。
また、関東で大風、地震、洪水が発生。
と、基本的には平穏無事だが、平将門の乱のようにいざ政変が起きた時には大変な爆発力を持った年なのかもしれない。
また、翌年が庚子(かのえね)年なので、この年に統制がぎりぎり保たれていたものが、庚子で爆発するような流れもある。
例えば、
慶長4年(1599) 己亥 前田利家死去
慶長5年(1600) 庚子 関ケ原の合戦
平成31年から令和に改元(2019) 己亥 皇太子徳仁親王が天皇に即位。
令和2年(2020) 庚子 新型コロナウイルス流行により東京オリンピックが延期
(この記事投稿時が2020年4月24日)
が有名だろう。
なお、次の己亥年は2079年となる。
59年後なんてあっという間だよなぁ?
庚子(かのえね)年の性質 (2020年)
庚は金の兄(かのえ)ともいう。
庚の字は同音の「更」と同じ意味で、植物の生長が止まって新たな形に変化しようとする様子を表す。
子は「増える」の意味で、新しい生命が種子の中できざし始める状態。
のちに動物のネズミが割り当てられた。
今年2020年が庚子年にあたる。
古来より新しいことにチャレンジするにはこの年が最適だとみられていたのだろう。
逆に政変が起きる警戒もしていた年なのかもしれない。
昨年の己亥(つちのとい)年で平穏無事ならば、溜まり溜まったエネルギーがこの年に爆発する可能性がある。
前年にあたる己亥年で述べたが、関ケ原の合戦のような大きなエネルギーを秘めている。
過去にも時代の転換点となるような事件や政変が数多く起きているように見受けられる。
重要なことのみを抜粋すると
天平宝字4年(760)
神銭万年通宝・銀銭大平元宝・金銭開基勝宝を鋳造開始。
弘仁11年(820)
遠江・駿河に移った新羅人700人が反乱を起こし、伊豆などへ攻め込み、穀物を奪う。=弘仁新羅の乱
元慶4年(880)
出雲国で大地震が発生。
京都で大地震が発生。
大極殿をはじめ内裏に大きな被害が及ぶ。
元永3年から保安へ改元(1120)
保安元年の政変が起きる。
治承4年(1180)
高倉天皇が譲位し、安徳天皇が即位。
京で竜巻が発生し、被害が出る。
以仁王が源頼政らと挙兵するも平氏に敗れて戦死。=宇治平等院の戦い
源頼朝が関東で挙兵するも石橋山の戦いで平氏に敗れる。
源頼朝が再び挙兵し、富士川の戦いで平氏を破る。
延応2年から仁治へ改元(1240)
1360年
南北朝の争乱で畠山國清が楠木正儀の赤坂城を攻め落とす。
文明12年(1480)
斎藤妙椿の死去により間もなく持是院家で内紛が起き、本家の斎藤家および守護の土岐家、さらに美濃周辺諸国をも巻き込む争乱が起きる。
慶長5年(1600)
関ケ原の合戦で徳川家康率いる豊臣軍が石田三成率いる豊臣軍を破る。
万治3年(1660)
仙台藩主伊達綱宗が強制的に隠居させられ、伊達騒動の発端となる。
明治33年(1900)
義和団事件が発生し、日本・イギリス・アメリカ・ロシア・フランス・ドイツ・オーストリア=ハンガリー・イタリアなどが居留民保護を名目に中国に派兵。その賠償により大清帝国が満州の地をロシアに租借地として明け渡す。(4年後の日露戦争の引き金に)
昭和35年(1960)
安保闘争により日本中が騒然とする。
岸信介首相が暴漢の襲撃を受け重傷。翌日、内閣を総辞職する。
令和2年(2020)
新型コロナウイルス流行により社会が騒然。東京オリンピックも延期に。
と改元こそ少ないものの、歴史に残る政変・災害が例年より明らかに多い。
だから何?と突っ込まれそうだが、過去にこうしたことがあったということだけは書いておく。
なお、次の庚子年は2080年となる。
辛丑(かのとうし)年の性質 (2021年)
辛は金の弟(かのと)ともいう。
辛の字は同音の「新」につながり、植物が枯れて新しい世代へ移ろうとする時期を指す。
丑は「紐」をあらわし、植物の芽が出始めたものの、まだ伸びることができない状態を意味する。
のちにわかりやすくするために動物の牛が割り当てられた。
辛丑年で改元された例は江戸時代にちらほらあるものの、全体的にはあまり多くないので、比較的安全とみられていたのかもしれない。
歴史的には
康安元年(1361 南朝:正平16年)におきた正平(康安)大地震(南海トラフ)くらいか。
なお、中国で義和団事件の幕引きとして大清帝国がロシア以外の11ヶ国と条約を交わした辛丑和約は、この年の干支からきている。
次の辛丑年は2021年である。
壬寅(みずのえとら)年の特徴
壬は水の兄(みずのえ)ともいう。
壬の字は「妊」につながり、新しい命が種子の中にある状態を指す。
寅は「動く」の意味で、春が来て草木が生ずる状態を表しているとされる。
のちに動物の虎が割り当てられた。
壬寅年にはほとんど改元が行われなかったことから、忌まわしい干支だとは考えられていないようだ。
次の壬寅年は2022年である。
癸卯(みずのとう)年の特徴
癸は水の弟(みずのと)ともいう。
「揆」はかるの字からきていて、種子の中にいる新しい生命が大きくなってきた状態を表す。
卯は茂の意味で、草木が地面いっぱいに広がっている状態のこと。
のちに動物のウサギがあてられた。
過去に癸卯年で改元された例は少ない。
特に問題のない年だと考えられていたのだろう。
海外文明の話だが、583年に遊牧騎馬民族の突厥(とっけつ)が東突厥と西突厥に分裂したのは、この癸卯にあたる。
次の癸卯年は2023年である。
甲辰(きのえたつ)年の特徴
甲は木の兄(きのえ)ともいう。
甲の字は亀の甲羅を形どったもので、そこから植物の固い種子を表すようになった。
辰は「振」からきていて、草木の形が整った状態を表しているとされる。
のちに神話上の龍が充てられた。
政治的には過去に甲辰年で改元された例が少なく、政変もあまりおきなかったため、憂慮すべき干支ではないようだ。
古代日本で天平宝字8年(764)に藤原仲麻呂の乱と孝謙上皇が重祚し、称徳天皇となったくらいか。
次の甲辰年は2024年である。
乙巳(きのとみ)年の特徴
己は三本の平行線を形取ったもので、そこから、条理が整然としている状態。
また、植物が充分生長し形が整然としている様子を表す。
巳は「止む」の意味で、草木の成長が極限に達した状態を指すとされている。
のちに動物の蛇が割り当てられた。
ちなみに日本で「み」と読む理由は、古代日本では蛇のことを「へみ」と呼んでいたから。
大化元年(645)に 中大兄皇子、中臣鎌足らが蘇我入鹿を宮中で暗殺した大化の改新が起きている。
これはこの年の干支から「乙巳の変(いっしのへん)」とも呼ばれている。
よほどインパクトの大きかったのか、以降は
天平宝字9年に天平神護と改元(765)
元慶9年に仁和元年と改元(885)
康平8年に治暦元年と改元(1065)
元暦2年に文治元年と改元(1185)
なお、この年に平家が滅亡し、安徳天皇が入水している。
嘉元3年(1305)には嘉元の乱が発生。
応永32年(1425)
室町幕府5代将軍義量が急死し、鎌倉足利氏との間に亀裂が入る。
文明17年(1485)には山城国一揆発生。
江戸時代に入ると政権を揺るがす大事はさほど起きなくなった。
明治38年(1905)年には日露戦争の講和条約に不満を持った市民が日比谷焼き打ち事件をおこしている。
直近の乙巳年は昭和40年(1965)
次の乙巳年は2025年となっている。
丙午(ひのえうま)年の特徴
丙は火の兄(ひのえ)ともいう。
丙の字は、脚が張り出た台を文字にしたもので、そこから芽が地上に出て葉が張り出て広がった状態を表す。
午は古代中国語の「忤」からきており、草木の成長が頭打ちになり、衰えの兆しを見せ始める状態を表す。
のちに動物の馬が割り当てられた。
午前・正午・午後というのはここからきている。
10年前にあたる丙申(ひのえさる)年は問題のない年だとされている一方、20年前に当たる丙戌(ひのえいぬ)年は過去に天変地異や天皇の崩御が相次ぎ、改元が頻繁に行われてきた。
今回の丙午年はというと、古代から数えても改元されたのは1度くらいで、大きな政変があまり起きなかったようだ。
面白いことに、治暦2年(1066)はハレー彗星が接近しても改元はされなかった。(改元したばかりだからか?)
弓削道鏡が法王に就任したのはこの干支年である。(766)(前年に太政大臣就任しており、これで位人臣を極めたことになる)
江戸時代の火災の件で、丙午年生まれは異常なまでにイメージが悪い過去があったようだ。
四柱推命等では丙午に関して注意を要するようだが、当サイトでは詳しく述べない。
なお、次の丙午年は2026年となる。
丁未(ひのとひつじ)年の特徴
丁は火の弟(ひのと)ともいう。
丁の字は釘を形どったもので、安定を表す。
また、植物が成長し一定の大きさに達した状態をいう。
未は「暗い」という意味で、植物が鬱蒼と生い茂って、果実が熟して滋味が生じた状態を表す。
のちに日本では動物の羊が割り当てられたが、中国ではヤギ、ガゼル、レイヨウなどを指す。
丁未年は過去にいろいろあったようだ。
重要部分のみを取り上げると
用明天皇2年(587)
用明天皇崩御。
蘇我馬子・聖徳太子らが物部守屋を滅ぼす。=丁未の乱
天平神護3年から神護景雲に改元(767)
仁和3年(887)
光孝天皇が崩御し宇多天皇が即位。
時の関白藤原基経と宇多天皇との間で阿衡事件(阿衡の紛議)が発生。
天慶10年から天暦へ改元(947)
藤原是助の乱。
大治2年(1127)
源義光(新羅三郎)死去。
文治3年(1187)
源義経、平泉へ落ち延びる。
寛元5年から宝治へ改元(1247)
執権北条時頼が三浦氏を攻め滅ぼす。
嘉元4年から徳治へ改元(1307)
応永34年(1427)
足利義持が赤松満祐討伐を命じる。=赤松の乱
文明19年から長享へ改元(1487)
将軍足利義尚による六角高頼討伐=長享・延徳の乱(2年後に義尚は陣中で没す)
江戸時代に入って改元はパタリとなくなり
天明7年(1787)
11代将軍に徳川家斉が就任し、松平定信による寛政の改革が始まる。
弘化4年(1847)
信州の善光寺で大地震が発生。M7.4。8000人が犠牲となる。
明治40年(1907)
日露戦争後の経済恐慌。
足尾鉱毒事件の労働争議が起きる。
古代から数えて改元は5回ほどと並みかやや多め。
改元した年は大丈夫だけど、改元しなかった年は大きな軍事行動が起きて、次の丁未が来たらまた改元する・・・といった感じに見えて面白い。
なお、直近の丁未年は昭和42年(1967)。
次の丁未年は2027年となる。
戊申(つちのえさる)年の特徴
戊の字は「茂」からきており、植物の生長が絶頂期にある状態を表す。
申は呻(うめ)くという意味で、果実が成熟して固まって行く状態を表しているとされる。
のちに動物の猿が割り当てられた。
過去には
慶雲5年から和銅へ改元。(708)
和同開珎の鋳造を開始した年。
治暦4年(1068)
後冷泉天皇が崩御し、後三条天皇が即位。
徳治3年から延慶へ改元。(1308)
後二条天皇が崩御し、花園天皇が即位。
1368年(南朝:正平23,北朝:貞治7応安元)
長慶天皇が即位。
足利義満が室町幕府3代将軍に就任。
応永35年から正長へ改元。(1428)
元将軍足利義持が死去(すでに隠居し将軍職は譲っていた)
くじ引きの結果、足利義教が将軍に決まる。
正長の土一揆発生。
伊勢の北畠満雅が挙兵。
長享2年(1488)
長享の乱が勃発。
加賀守護職の富樫政親が一向一揆により滅ぼされる。(以後約百年に渡って加賀国は「百姓の持ちたる国」となった)
弘化5年から嘉永元年へ改元。(1848)
と古代から数えて改元が4度とさほど多い方ではない。
幕末から明治にかけて起きた戊辰戦争は戊申ではなく、戊辰(つちのえたつ)年なので注意。
なお、次の戊申年は2028年となる。
己酉(つちのととり)年の特徴
己は三本の平行線を形取ったもので、そこから、条理が整然としている状態。
「紀」に通じ、分散を防ぐ統制作用がある。
また、植物が充分生長し形が整然としている様子を表す。
土の弟(つちのと)ともいう。
酉という字は元来、縮むという意味で用いられており、果実が成熟の極限に達した状態を表していたが、のちに動物の鳥が割り当てられた。
過去に改元は6度と多め。
大きな事件を抜粋すると
謀叛の疑いをかけられた右大臣蘇我倉山田石川麻呂が、中大兄皇子に攻められ自害(649)
宇佐八幡宮神託事件(道鏡事件)(769)
藤原秀衡の息子藤原泰衡が衣川の館で源義経を襲い、首を鎌倉へ送る。源頼朝が奥州藤原氏を滅ぼす(1189)
室町幕府9代将軍足利義尚が死去(1489)
薩摩藩が琉球へ攻め込み、首里城が陥落(1609)
など。
なお、次の己酉年は2029年となる。
庚戌(かのえいぬ)年の特徴
庚は金の兄(かのえ)ともいう。
庚の字は同音の「更」と同じ意味で、植物の生長が止まって新たな形に変化しようとする様子を表す。
戌はもともと「滅」を意味し、草木が枯れる冬の状態を表しているとされる。
のちに動物の犬が割り当てられた。
過去に庚年や戌年に改元が集中していたが、意外にも庚戌年の改元は少ない。
古代から数えて3度くらいだ。(南北朝での改元を含めると4度くらい)
直近の庚戌年は昭和45年(1970)で、大阪万博が開催され、共産主義者によるよど号ハイジャック事件が起きた。
なお、次の庚戌年は2030年となる。
辛亥(かのとい)年の特徴
辛は金の弟(かのと)ともいう。
辛の字は同音の「新」につながり、植物が枯れて新しい世代へ移ろうとする時期を指す。
亥は「閉ざす」からきていて、草木の生命力が種子の中に閉じ込められている状態を表す。
のちに動物のイノシシが割り当てられた。
亥がイノシシというのは非常に良い例えのようで、良くも悪くも非常に強い直進的なエネルギーのようだ。
その爆発的なエネルギーが次の子(ね)の発生にも繋がると考えると、猪突猛進という言葉は言い得て妙である。
陰の金と陰の水の組み合わせ。
力任せの行動、血の気、勇気、冒険といった意味があるようだ。
しかし、意外にも過去に改元された例は少ない。
古代から数えても改元は2度ほど。
大きな政変や災害も少ない。
お隣の清朝末期に起きた辛亥革命はこの干支からきている(1911年)
なお、次の辛亥年は2031年となる。
壬子(みずのえね)年の特徴
壬は水の兄(みずのえ)ともいう。
壬の字は「妊」につながり、新しい命が種子の中にある状態を指す。
子は「増える」の意味で、新しい生命が種子の中できざし始める状態。
のちに動物のネズミが割り当てられた。
先の丙午(ひのえうま)年は火災が多いという迷信があると述べたが、壬子年は水性が重なるということから、水害が多いという迷信がある。
過去の改元や政変、災害について調べてみると
崇峻天皇5年(592)
蘇我馬子が東漢駒に命じて崇峻天皇を暗殺。
白雉3年(652)
難波長柄豊碕宮へ遷都。
大水害が発生し、死者多数。(場所は不明)
和銅5年(712)
古事記が完成し、元明天皇に献上される。
寛弘9年から長和に改元(1012)
天承2年から長承に改元(1132)
応長2年から正和に改元(1312)
南朝では建徳3年から文中に改元(1372)
永享4年(1432)
薩摩・大隅・日向で大規模な民衆反乱。
越智維通や箸尾次郎右衛門らが奈良で挙兵。
延徳4年から明応に改元(1492)
寛政4年(1792)
九州の雲仙岳が大規模噴火(島原大変肥後迷惑)
明治45年から大正へ改元(1912)
東京帝国大学教授の美濃部達吉と上杉慎吉が、天皇機関説・天皇主権説について論争。
夕張炭鉱で死傷者多数を出した爆発事故が発生。
明治天皇が崩御し、大正天皇が即位。
昭和47年(1972)
連合赤軍によるあさま山荘事件。
桜島で比較的大規模な噴火が発生し、噴石や山火事による被害が多数。
と、改元はやや多めだが、崇峻天皇暗殺があっても60年後の壬子年で改元されなかったことも考えると、特に警戒される干支年ではなかったように思える。
記録に残るような水害は少ないことから、壬子年は水害が多いというのは迷信止まりのようだ。
なお、次の壬子年は2032年となる。
癸丑(みずのとうし)年の特徴
癸は水の弟(みずのと)ともいう。
「揆」はかるの字からきていて、種子の中にいる新しい生命が大きくなってきた状態を表す。
丑は「紐」をあらわし、植物の芽が出始めたものの、まだ伸びることができない状態を意味する。
のちにわかりやすくするために動物の牛が割り当てられた。
過去に起きた出来事は
推古天皇元年(593)
推古天皇が即位し、聖徳太子が摂政となる。
四天王寺が建立される。
(前年に蘇我馬子が汚れ役となり・・・なんか出来すぎているよな?)
白雉4年(653)
中大兄皇子が孝徳天皇と不和となり、飛鳥河辺行宮に移る。
天長10年(833)
淳和天皇が譲位し、仁明天皇が即位。
延久4年(1073)
後三条天皇が譲位し、白河天皇が即位。
永享5年(1433)
足利義教により勘合貿易が再開される。
大内持世が兄を討ち、少弐氏、大友氏を破る。
旱魃、関東で大地震の被害。
明応2年(1493)
細川政元が将軍足利義材(義稙)を追放し、足利義澄を将軍に擁立する=明応の政変
寛文13年から延宝に改元(1673)
関白鷹司房輔の屋敷から出火した火事が内裏まで飛び火し、1万軒が消失=寛文の大火
嘉永6年(1853)
アメリカのペリー提督が浦賀に来航し、江戸湾深部にまで進航したため、幕府は国書を受領。(翌年に開国)
将軍徳川家慶が死去し、13代将軍に家定が就任。
大正2年(1913)
大正政変が起き、第3次桂内閣が退陣。日本の政治の迷走が始まる。
昭和48年(1973)
オイルショックにより物価が上昇。
改元の例は少ないものの、政府を揺るがす大事件が比較的よく起きている。
なお、次の癸丑年は2033年となる。
甲寅(きのえとら)年の特徴
甲は木の兄(きのえ)ともいう。
甲の字は亀の甲羅を形どったもので、そこから植物の固い種子を表すようになった。
寅は「動く」の意味で、春が来て草木が生ずる状態を表しているとされる。
のちに動物の虎が割り当てられた。
古代から数えて改元されたのは2回ほどと少ない。
しかし、過去にはちらほら政変が目立つ。
重要なことだけ取り挙げると
安閑天皇元年(534)
武蔵国造の乱が発生。
推古天皇2年(594)
三宝興隆の詔が発せられる。
寛平6年(894)
遣唐使の廃止が決まる。
慶長19年(1614)
徳川家康が豊臣家を滅ぼすきっかけをつくった方広寺鐘銘事件。
大坂冬の陣。
嘉永7年(1853)
江戸幕府が国策を転換し、アメリカと日米和親条約を締結。
その後、なし崩し的に列強諸国と同様の条約を結ぶ。
安政の大地震が発生し、東海・南海・豊予海峡で壊滅的な被害。
大正3年(1914)
内閣弾劾国民大会により国会議事堂を包囲される。
東京大正博覧会開催。
大正政変の余波で第一次山本内閣が総辞職(=シーメンス事件)
第一次世界大戦勃発。日本は大英帝国の要請に応じ、ドイツに宣戦布告。
なお、次の甲寅年は2034年となる。
乙卯(きのとう)年の特徴
己は三本の平行線を形取ったもので、そこから、条理が整然としている状態。
また、植物が充分生長し形が整然としている様子を表す。
卯は茂の意味で、草木が地面いっぱいに広がっている状態のこと。
のちに動物のウサギがあてられた。
古代から数えて改元は5回ほどと普通。
大きな事件は
斉明天皇が重祚(655)
元明天皇が譲位し、元正天皇が即位(715)
室町幕府4代将軍の足利持氏が東北地方の諸大名に足利満貞討伐を命じる。
大内持世と大友持直の抗争が激化。(1435)
大坂夏の陣により豊臣家滅亡。
江戸幕府が一国一城令・武家諸法度・禁中並公家諸法度を立て続けに発布。(1615)
安政江戸地震(前年から未曽有の大地震が続いていた)(1855)
日本政府が中華民国の袁世凱政権に対華21ヶ条を要求し、受諾される。(1915)
と取り立てて多いわけではない。
次の乙卯年は2035年となる。
丙辰(ひのえたつ)年の特徴
丙は火の兄(ひのえ)ともいう。
丙の字は、脚が張り出た台を文字にしたもので、そこから芽が地上に出て葉が張り出て広がった状態を表す。
辰は「振」からきていて、草木の形が整った状態を表しているとされる。
のちに神話上の龍が充てられた。
比較的安心な干支年だと思われていたのか、古代から改元された例は3回ほどと少なめ。
大きな政変も少なめではある。
重要部分のみ抜粋すると
安閑天皇2年から宣化天皇へ改元?(536)
安閑天皇が崩御し、宣化天皇が即位。
1556年
隣の明国では華県地震が発生し、人類史上最悪の83万人の死者を出す。
元和2年(1616)
徳川家康が病死。
享保21年から元文へ改元(1736)
将軍徳川吉宗による通貨改革(大規模な新田開発により米相場の下落が発生し、インフレが起きた。これはそれを抑えるための改革)=元文改鋳
安政3年(1856)
安政八戸沖地震で地震・津波による被害多数。
昭和51年(1976)
ロッキード事件
丙年は火事が多いという迷信があるが、この丙辰年に関してはさほど多くない気がする。
なお、次の丙辰年は2036年となる。
丁巳(ひのとみ)年の特徴
丁は火の弟(ひのと)ともいう。
丁の字は釘を形どったもので、安定を表す。
また、植物が成長し一定の大きさに達した状態をいう。
巳は「止む」の意味で、草木の成長が極限に達した状態を指すとされている。
のちに動物の蛇が割り当てられた。
ちなみに日本で「み」と読む理由は、古代日本では蛇のことを「へみ」と呼んでいたから。
過去を調べると、あまり大きな政変や災害は起きていないものの、古代から中世にかけて改元が集中している。
何かに警戒していたのだろうか。
改元のみを見てみると
霊亀3年から養老へ改元(717)
天暦11年から天徳へ改元(957)
長和6年から寛仁へ改元(1017)
承保4年から承暦へ改元(1077)
康元2年から正嘉へ改元(1257)
正和6年から文保へ改元(1317)
それ以降は大きな災害が起きても改元はなされなかった。
私にはよく分からないことだが、丁巳について、陰陽五行では十干の丁は陰の火、十二支の巳は陰の火で比和となるようだ。
比和は同じ気が重なるとその気は盛んに、その結果が良い場合にはますます良く、悪い場合にはますます悪くなるそうだ。
ということは、ますます盛んに?
悪いというわけではないのか。
なお、次の丁巳年は2037年となる。
戊午(つちのえうま)年の特徴
戊の字は「茂」からきており、植物の生長が絶頂期にある状態を表す。
午は古代中国語の「忤」からきており、草木の成長が頭打ちになり、衰えの兆しを見せ始める状態を表す。
のちに動物の馬が割り当てられた。
午前・正午・午後というのはここからきている。
過去から数えて改元されたのは2度ほどしかないことから、警戒すべき干支だとはみられていなかったのだろう。
大きな災害や政変は
斉明天皇と中大兄皇子の抗争に巻き込まれ、有間皇子らが処刑される(658)
足利義昭が大和国天河で将軍足利義教に対して反乱。
永享の乱が勃発し、足利持氏が失脚。(1438)
日向灘地震・明応大地震(南海トラフ)(1498)
戊午の密勅がきっかけで安政の大獄が始まる。
徳川家茂が将軍に就任(1858)
富山県で米騒動が起きる=1918年米騒動(1918)
と少なめ。
次の戊午(つちのえうま)年は2038年となる。
己未(つちのとひつじ)年の特徴
己は三本の平行線を形取ったもので、そこから、条理が整然としている状態。
また、植物が充分生長し形が整然としている様子を表す。
未は「暗い」という意味で、植物が鬱蒼と生い茂って、果実が熟して滋味が生じた状態を表す。
のちに日本では動物の羊が割り当てられたが、中国ではヤギ、ガゼル、レイヨウなどを指す。
古代から数えて改元が3度ほど(南北朝を入れると4回度ほど)と少ない。
政変も少なく古来から安全な干支年だと見られていたのだろう。
なお、次の己未年は2039年となる。
庚申(かのえさる)年の特徴
庚は金の兄(かのえ)ともいい、古代中国語の「更」からきている。
植物の生長が止まって新たな形に変化しようとする状態を表す。
申は呻(うめ)くという意味で、果実が成熟して固まって行く状態を表しているとされる。
のちに動物の猿が割り当てられた。
陰陽五行では庚は陽の金、申も陽の金で比和となるようだ。
比和は同じ気が重なるとその気は盛んに、その結果が良い場合にはますます良く、悪い場合にはますます悪くなるそうだ。
庚申はともに金性であることから、庚申の年・日は金気が天地に充満して、人の心が冷酷になりやすいとされてきた。
翌年の辛酉(かのととり)も金性が重なり、かつ、辛(かのと)は陰の気なので冷酷さがより増すとされた。
そのため、庚申と辛酉は2年続けて警戒すべき年とされ、続けて改元が行われることもあった。
特に政変を恐れたそうだ。
過去の改元・災害・政変を調べてみると
清寧天皇元年(480)
前年の星川皇子の乱の末に清寧天皇が即位。
欽明天皇元年(540)
欽明天皇が即位。
大伴金村が失脚したことにより、物部氏と蘇我氏の二頭体制が確立する。
推古天皇8年(600)
新羅征伐にひとまずの成功を収め降伏させる。
斉明天皇6年(660)
新羅の援軍として唐が大軍を率い、百済が滅ぼされる。(百済は大和王朝の影響下にあったため、3年後に白村江の戦いが起きた)
(翌年斉明天皇が崩御し、天智天皇が即位)
宝亀11年(780)
東北で宝亀の乱(伊治呰麻呂の乱)が勃発。
(翌年改元し、天皇が代わり、富士山が噴火)
承和7年(840)
淳和天皇が死去。(皇位はすでに仁明天皇に譲っていたものの、奇しくも淳和天皇の生前の不安が的中し、2年後に承和の変が発生)
天徳4年(960)
平安京の内裏が全焼する。
承暦4年(1080)
年末に金環日食。
正治2年(1200)
梶原景時の変で梶原氏滅亡。
正元2年から文応に改元(1260)
日蓮が立正安国論を執権北条時頼に提出。
(末法思想、讖緯説(しんいせつ)の関係からか翌年にも改元)
永享12年(1440)
関東で結城合戦が起きる。(永享の乱2ラウンド)
(翌年に嘉吉の乱発生)
永禄3年(1560)
地方での戦いだが、桶狭間の合戦で織田信長が今川義元を敗死させる。
(なぜかこの翌年は珍しく改元がされていない)
延宝8年(1680)
大彗星が観測される。
安政7年から万延に改元(1860)
安政の大獄の最中、桜田門外の変で大老井伊直弼が暗殺され、幕府の権威が低下。
(翌年にも改元)
大正9年(1920)
大日本帝国が国際連盟に加入。
日本で株価が大暴落し、第一次世界大戦後の恐慌が起きる。
尼港(にこう)事件。
直近の昭和55年(1980)は一億円拾得事件、モスクワオリンピックで日本は参加ボイコットなどがあったものの、大きな政変は起きていない。
といった具合で庚申は乱・変が頻発している。
(翌年にあたる辛酉はもっと多い)
庚申で改元し、翌年も続けて改元されたのは2回。
正元2年から文応へ改元された1260年(末法思想と讖緯説(しんいせつ)で夜が騒いだ)と、安政7年から万延に改元された1860年(黒船が来航して世が大きく動揺)である。
讖緯説については次年の辛酉で詳しく述べる。
庚申信仰とは
道教(中国の宗教)の「三尸説(さんしせつ)」をもとに、日本風にアレンジされたいわゆる迷信の一つ。
庚申日での結婚が禁止されたり、その日は男女同床はしなかったり、その関係からかこの日結ばれてできた子供は盗人の性格があると恐れられた。
また、庚申の夜に眠ると体から三尸虫(さんしちゅう)が抜け出して、天帝にその人の悪事を告げるため天罰が下るので、眠らずに過ごす俗習を「庚申待ち」と呼んだ。
そうした民間信仰は江戸時代をピークとして広く信じられてきたが、大正時代以降は急速に衰えた。
なお、次の庚申年は2040年となる。
辛酉(かのととり)年の特徴
辛は金の弟(かのと)ともいう。
辛の字は同音の「新」につながり、植物が枯れて新しい世代へ移ろうとする時期を指す。
酉という字は元来、縮むという意味で用いられており、果実が成熟の極限に達した状態を表していたが、のちに動物の鳥が割り当てられた。
庚申(かのえさる)に続いて辛酉も干支ともに金性であり、かつ辛は陰の気なので、人の心がより冷酷になりやすいとされた。
辛酉は天命が改まる年とされ、特に政変が起きると警戒された干支であった。
現に西暦781年からの辛酉年は必ずといって良いほど改元がされていることからも、60年が訪れるたびに政変を恐れた事実が窺える。
分不相応な地位にいる者には恐ろしい年、不利益を被ってる者には革命の年だとされる。
なお、こうした信仰は本場の中国では信じられず、日本でのみ長く信じられてきた。
辛酉年に起きた大きな事件、改元の例を調べると
斉明天皇7年(661)
朝鮮半島の百済救援のため、第一陣の1万余人が日本を出陣。
(2年後に白村江の戦いで敗れる)
斉明天皇が崩御し、天智天皇が即位。
養老5年(721)
元明天皇が死去。(皇位は元正天皇に譲っていた)
宝亀12年から天応へ改元(781)
光仁天皇が譲位し、桓武天皇が即位。
富士山が噴火。
昌泰4年から延喜へ改元(901)
菅原道真が謀反を疑われて太宰府へ左遷される。=昌泰の変
天徳5年から応和へ改元(961)
寛仁5年から治安へ改元(1021)
承暦5年から永保へ改元(1081)
保延7年から永治へ改元(1141)
正治3年から建仁へ改元(1201)
文応2年から弘長へ改元(1261)
(前年も改元していた)
元応3年から元亨へ改元(1321)
南北朝時代
南朝)
天授7年から弘和へ改元(1381)
北朝)
康暦3年から永徳へ改元(1381)
永享13年から嘉吉へ改元(1441)
結城合戦終結。
嘉吉の乱により将軍足利義教が赤松満祐に暗殺される。
明応10年から文亀へ改元(1501)
延宝9年から天和へ改元(1681)
元文6年から寛保へ改元(1741)
寛政13年から享和へ改元(1801)
万延2年から文久へ改元(1861)
(前年も改元していた)
米国駐日総領事館の通弁官ヒュースケンが薩摩藩士に殺害される。
ロシア軍艦対馬占領事件。
和宮降下で公武合体成る。
大正10年(1921)
原敬首相が東京駅で暗殺される。=原敬暗殺事件
ワシントン海軍軍縮条約締結。
と、特に目立つのは改元の多さである。
古代から数えて16回くらいと突出して多い。
南北朝の時代には南朝北朝ともに仲良く改元しているのが面白い。
西暦781年から大正時代までで改元がされなかったのは永禄4年(1561)と元和7年(1621)だけである。
なぜこのときだけ改元しなかったのかは不明。
讖緯説(しんいせつ)について
「讖」は予言という意味。
「緯」は儒教の緯書のことで、「予言の書」という意味。
讖緯説とは1260年に一度の辛酉年には大革命があるとする後漢の中国で生まれた思想。
元々は天の意思に則って大きな革命を起こし、現存の王朝を倒すという風潮を作るのに利用されたと考えられる。
正しくは辛酉年が21度巡ってきたら大革命が起きると考えられてきた。
干支は60年周期なので、
60年×21度=1260年
となる。
ちなみにこの思想は、中国ではこの思想はあまり重要視されなかったが、日本でのみ広く信じられてきた。
日本では平安時代に三善清行という人物が西暦901年の辛酉年の時に、縁起が悪いので元号を「延喜」と改めるよう進言したとされる。
(改元される前に菅原道真が太宰府に左遷されているが、関連性があるのかは不明)
神武天皇から応神天皇あたりまでの寿命が異様に長いことは、この讖緯説に関係しているという説があるようだが、私には詳しいことは分からない。
なお、直近の辛酉年は昭和56年(1981)。
次の辛酉年は2041年となる。
壬戌(みずのえいぬ)年の特徴
壬は水の兄(みずのえ)ともいう。
壬の字は「妊」につながり、新しい命が種子の中にある状態を指す。
戌はもともと「滅」を意味し、草木が枯れる冬の状態を表しているとされる。
のちに動物の犬が割り当てられた。
古代から数えて改元されたのは2度ほどと少ない。(前年の辛酉で必ずといって良いほど改元されていたので当然か)
壬年と癸(みずのと)年は水害に注意すべき年だという迷信があるが、過去に記録に残るレベルの水害は寛保2年(1742)の寛保二年江戸洪水および同年に発生した戌の満水(千曲川の洪水)くらいである。
なお、次の壬戌年は2042年となる。
癸亥(みずのとい)年の特徴
干支60通りの最後、60番目がこの干支である。
癸は水の弟(みずのと)ともいう。
「揆」はかるの字からきていて、種子の中にいる新しい生命が大きくなってきた状態を表す。
亥は「閉ざす」からきていて、草木の生命力が種子の中に閉じ込められている状態を表す。
のちに動物のイノシシが割り当てられた。
亥がイノシシというのは非常に良い例えのようで、良くも悪くも非常に強い直進的なエネルギーのようだ。
その爆発的なエネルギーが次の子(ね)の発生にも繋がると考えると、猪突猛進という言葉は言い得て妙である。
陰陽五行では癸は陰の水、亥も陰の水で比和となる。
比和は同じ気が重なるとその気は盛んに、その結果が良い場合にはますます良く、悪い場合にはますます悪くなるそうだ。
亥は真っすぐに突き進む特性があると古来から考えられてきたので、良くも悪くも影響力が大きそうだ。
翌年が甲子(きのえね)年となり、政変が多い要注意年と考えられてきた。
関連記事:2020年の干支は庚子!日本における干支の算出方法とそれぞれの意味とは(2)
癸亥年の過去を調べてみると
推古天皇11年(603)
冠位十二階を制定。
天智天皇2年(663)
白村江の戦いで唐・新羅連合軍に敗れ、百済が滅亡。
朝鮮半島への影響力をすべて失う。
養老7年(723)
三世一身法を制定。
延喜3年(903)
菅原道真が死去し、以後しばらく都では謎の落雷や病魔が政府要人を襲う。
永保3年(1083)
富士山が噴火。
源義家(八幡太郎)が清原真衡に味方し、清原清衡・清原家衡と戦う。
真衡の病没で源義家の裁定により、家衡と清衡に分割相続されるが、それがこの後の泥沼の戦いへと続く原因となった。=後三年の役のはじまり
建仁3年(1203)
比企能員の変。
鎌倉幕府二代将軍源頼家が幽閉され、源実朝が将軍に就任。
弘長3年(1263)
執権北条時頼死去。(すでに執権職は義兄の北条長時に譲っていた)
元亨3年(1323)
鎌倉で夜間に大地震が発生し、略奪する者が続出。
嘉吉3年(1443)
室町幕府7代将軍足利義勝が10歳で没し、足利義政の時代となる。(正式には6年後に将軍職に就任)
禁闕の変が起き、神璽が後南朝陣営に奪われる。
元和9年(1623)
徳川家光が江戸幕府三代将軍に就任。
文久3年(1863)
徳川家茂が直々に上洛し、皇女和宮との婚儀の返礼も兼ね、開国の必要性を朝廷に説明する異例の事態に(将軍自らの上洛は229年ぶり)
列強4ヶ国による下関砲撃で長州藩痛手=馬関戦争
文久の大火により江戸城本丸と西ノ丸が消失。
薩英戦争により薩摩藩痛手。
八月十八日の政変により長州藩が朝敵となる。
天誅組の変。
大正12年(1923)
関東大震災により戒厳令まで布告されるほど深刻な被害。
虎ノ門事件により第二次山本内閣が引責総辞職する事態に。
昭和58年(1983)
東京ディズニーランド開園。
家庭用ゲーム機ファミリーコンピュータ(ファミコン)の登場。
と、改元こそないものの、軍事行動や政変が頻発し、時代が一気に動く傾向にあるようだ。
癸亥から過去3年の傾向を振り返ると
57)庚申(かのえさる)→やばい
58)辛酉(かのととり)→めっちゃやばい
59)壬戌(みずのえいぬ)→安心
60)癸亥(みずのとい)→やばい
さらに、翌年を入れると
1)甲子(きのえね)→めっちゃやばい
と60通りある干支の中でも最後に危険な年が集中しているようだ。
直近の癸亥年は昭和58年(1983)
次の癸亥年は2043年となる。
ご覧いただきありがとうございました~。
ようやく終わりました(^^;)
いつか書きたいな~と思いながら、長くなりそうなのでためらっていたんですよね。
やはり長くなりましたが(笑)
1.2020年の干支は庚子!日本における干支の算出方法とそれぞれの意味とは(1)
2.2020年の干支は庚子!日本における干支の算出方法とそれぞれの意味とは(2)
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